Double Cross the Reverse... 「逆巻き琴線――喪失ひ旋律」 Middle.
須らく 遍く数多の幾千幾万なる尽く 総てすら凌駕する最上ですら表現しきれない ぜぇぇぇええんぶ、を、あげるわ。 ただし、君の欲するもの望むものは、残さず除いて。 GM キラキラと輝いている。 あれはいわゆる、シャンデリアと言う奴だろうか。 豪華だ。 奇妙に――豪華だ。 赤色と黒色の、よく磨かれたタイルと――降り注ぐ人工の輝きに挟まれて。 反響するメロディの中、歪んだ感覚のまま、目が覚める。 柊 (判定中……)→侵食率1%低下。 「・・・・ん・・・」もぞもぞと、目を覚ます GM 学生服のまま、倒れていたようです。 ??「おはよう、柊君」 かつ、かつん。 柊 「・・・えーと・・・」 寝ぼけ眼でそっちを見る GM 美しい顔が見えます。 年齢は――女性の年齢は良くわからないんだよなーと思いますが――若そうです。 柊 その人に見覚えは無いのね? GM 同じくらい。 無いと言えば、無い。あると言えば、ある。 奇妙な違和感。 避澄「私は音鍵避澄(おとかぎ ひずみ)と言う名前よ。 ひずみんと呼んでもらっても構わないわ。けれど貴方はそう呼ばない。きっとそうだわ」 柊 「・・・えーと、お邪魔してます・・・」目をこすりながら答える GM オトカギ・ヒズミ……。 避澄「年齢は貴方と同じ。いいえ、一つ年下かしら。16歳だもの」 笑顔が麗しい。 所作の一つ一つが、幻想的に響く。 ざっくりとした、淡い色のドレスを着ています。 柊 「・・・本来名乗りを返すべきなんだろうけど、もう名前知ってるらしいしなぁ・・・」 GM 避澄「神無月柊君よね。 十月の神無月に、木編に冬の柊。 愛する相手の名前くらい覚えていないといけないわ」 柊 「・・・・・あー。夢か。・・・寝よ。」 そう呟いて、また寝ようとします GM 避澄「一般的なそう言うギャグを実際に非日常的状況に面した時に行う人って、 ほとんどいないかと思うけれど、どうなのかしら。 そんなに夢と現実って曖昧なものかしら? 夢に見ていてこれは夢だから覚めろって言う事、あるのかしらね。 そもそもそんなに夢を覚えていないだろう、と言うのもあるわ」 かつかつと近付いて、すっとしゃがんで、 ツンツンと柊君のほっぺを突きます。 避澄「とりあえずまた眠ったからと言って現実に帰れるわけではないわよ、柊君。 これが夢だとして」 むにむに。 柊 「むぅ・・・」起きる GM 避澄「おはよう」 柊 「あ、おはよう」 GM 避澄「ご都合主義的な展開と言うのは中々実際問題、起きないわよね。 ご都合主義な展開があるとしたら、それは茶番か仕組まれているか、無意識の内に結果を予想していたかのどれか。 きっとそうだわ。 メインストーリーと違うところで盛り上がってる登場人物たちって、如何なものかしら? それでも物語には良くあるお話よね。現実だと尚更良くあるわ。 そもそもメインストーリーと言うのが第三者から見た、都合の良い主軸なのだから、 勝手な突っ込みを入れるなと怒られてしまいそうな所だけれど。 それでも、人間もう少し、世界全体のために生きてもいいんじゃないかしら。 私が言うべきことでは、全然無いけれど。 最初から口にして良いことですら、無いのかもしれないけれど。きっとそうだわ。 柊君、それで、目は覚めた?」 のべつ幕無しにそう、言葉を繋ぎます。 楽しげに。 歌うように。 柊 「・・・どっちかと言うと余計眠たくなりましたよ。」 あくびをかみ殺すようにしながら答える GM 避澄「あら。 流石は『居眠り柊』君ね」 にっこり笑って、手を差し出します。 避澄「どうぞ」 柊 「あ、どうも。」手を取る GM くっと引き起こされます。 避澄「質問が許されるのを待っているのは間抜けよ、柊君」 柊 「積極的に質問する気にもならないんですよ。」苦笑する 「まぁ、一つ質問するとしたら・・・此処、何処でしょうか?」 GM 避澄「館よ」 即答してから、ちょっと間を空けて。 避澄「私のお兄様の館」 柊 「・・・となると、怒られる前に帰る方が無難でしょうか?」 GM 避澄「引っ込み思案ね。招かれた身なのだからしゃんとしていればいいわ。 事実歓迎するべく、これから晩餐会が開かれるわ。 着替えはいくらでもあるけれど、着替えるかしら? 柊君、タキシードが案外似合うかもしれないわ」 柊 「この服のままにしておきますよ。」 「タキシードには本は多く入らないでしょうから。」 GM 避澄「そう。本がそんなに大事?」 柊 「退屈凌ぎや眠気覚ましには結構効くんですよ。貴女も一冊読んでみますか?」 GM 避澄「今は結構よ。 柊君、日常は嫌いだった? あるいは昔、普通である事に恐怖したことはあるかしら?。 それとも、普通と言うカテゴリからの逸脱……全員から見放されたかのような、自らの異質を痛感したことある? そもそも、そんな事に思考を割いた事が無いかしら」 柊 「・・・『退屈な日常』は、確かに苦手ですね。」 「だからこそ、本を読み耽ってその世界に浸るのが好きなんですし。」 GM 避澄「そう」 軽く頷いて。 避澄「幸せを感じた事があるかしら? 返答はしなくて良いわ。 それじゃ、晩餐会の部屋まで案内するわね。ついてきてくれると嬉しい」 柊 「分かりました。」 そう言って、避澄の後をついて行く GM 避澄「そうそう」 前を歩きながら、くるりと振り向き、目を合わせて。 避澄「告白しておくわね、きちんと。はっきり言っておいた方が、お互いに良いもの。きっとそうだわ。 愛してます、柊君の事。 勿論恋愛関係と言う意味でよ」 軽く頬が赤らんでいますけれど、とても美しく、美しさを失わない、自然で緩やかな表情でした。 柊 「・・・」 返事をどう返すか悩みながら、歩く GM 悩みながら 曖昧なまま 過ぎてゆく 怠惰なメロディ。 館での生活が始まる。