GM | 日暮れに差し掛かる頃、突然に降りしきる雨。 にわかに下がる気温と、湿ったにおい。 それは、何事もなかったのように、やがてやむ。 まるでそんな夕立のような、ひと夏の事件だった。 唐突に訪れて、唐突に去ってゆく。 非常識な非日常の思い出。 もしかしたら、思い出すらも……。 残されるのは、たった一つ。 かけがえのない、彼女だけ。 「どんなに夢見みて願い、否定し拒んでも、 やがて導き出される、身も蓋もない結論。 人はそいつを、現実と、呼ぶんだぜ。 ――――夏休みは、おしまいだ」 夏雲れありすむ・最終話 「夕立えんどれす」 |