第五棺

未だ終らぬ我々の埋没the Color of monochrome

Middle Phase 4
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   ■シーンプレイヤー:繰鐘麗香◆

GM さて、次は麗香さんですが。
では、今は普通に登場侵食が振れます。
どうぞ。
麗香 はい
ダイス 42+1D10 = 42+[3] = 45
GM はい。45%ですね。



GM 改悟君を見送ってから、場面は飛びます。
力を使いこなして来たころの記憶。出会ったのは、名もなき雑魚のジャーム達。
掃討を命じられたUGNの任務です。
お供のエージェント達の能力が低く、見限って、FHの作戦の失敗作らしきジャームの根城に踏み込んだ時の景色ですね。
周囲に、ふらふらと頭をふるいながら立ちつくしているジャームがいます。
麗香 えと、改悟くんと出会ったころの記憶はあったままでいいんですよね?
GM 勿論。
麗香 「これは……。ふん、そういうことですのね」
どうして、この場所に飛ばされたのか。見当がついたかのように笑います。
あ、GM。ジャームって単体ですか? 複数体ですか?
GM 複数いますね。
麗香 《絶対の恐怖》《蝕む声》《錯覚の香り》《彫像の声》《声なき声》
ダイス 13R+3@8 = [10,1,7,5,10,5,10,10,6,3,7,3,1][6,10,7,2][7]<クリティカル>+3 = 30
麗香 「ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 本っ当に頭にきますわ!」
叫びながら、生まれつき持ってる『ずるい力』でジャームたちを倒していきます。
ダイス 4D10+2 = [9,5,2,8]+2 = 26
GM ジャーム「ォオオオオオ!
ジャーム達の体が震え、頭がはじけていきます。
パン、パパンと、まるで水風船のように。
麗香 「あの塵内改悟ごときが!」
《絶対の恐怖》《蝕む声》《錯覚の香り》《彫像の声》《声なき声》
ダイス 14R+3@8 = [3,8,6,3,10,6,3,7,8,3,8,1,5,6][4,8,10,6][9,6][9][4]<クリティカル>+3 = 47
5D10+2 = [2,6,6,3,1]+2 = 20
麗香 「この私にあのような口の利き方をするなどと……!」
怒りのままに、ジャームを倒していきます。
なぜなら、ここは麗香が望んだ世界。
本来、戦闘向けではない自分でも倒せる、自分の力を確認できる世界。
GM 望んだとおりになるわけではないですけれど。
まぁ、自分が爽快だと感じた記憶をもとに構成はされていますね。
麗香 「わたくしの力が生まれつきのものだから『ずるい』?」
「塵内改悟、あなたはわたくしの力のなにを知っていると仰いますの!?」
さきほど、塵内改悟に言われた台詞。
生まれつき持ってる『ずるい力』
なぜ、わたくしがその力に頼らざるを得なかったのか
頼らなければならなかったのか

「なにも、知らないくせに……!」

《絶対の恐怖》《蝕む声》《錯覚の香り》《彫像の声》《声なき声》
ダイス 14R+3 = [2,3,7,9,10,3,5,1,6,8,6,3,1,6][3]<クリティカル>+3 = 16
2D10+2 = [2,6]+2 = 10
麗香 自分だって、本当はこんな力欲しくなかった
オーヴァードではない両親から生まれた、突然変異のオーヴァード

『普通』ではない『忌むべき』力。

「昨日今日オーヴァードになったばっかりの分際であのような囀りを……」
よぎるのは、幼い頃の記憶。
『普通』ではない力があるだけで、さげすまれたあの日の記憶。
「これだから、『普通』だった方々は……!」
GM 気付けば、周囲に散乱しているジャームの残骸。ぐずぐずと、崩れていく……。
もはや立っているジャームは少ない。
麗香 思い起こせば、産方可愛子も
四季奏一切もすべて『普通』だった人間だ。
自分の不幸は、すべて『普通』が運んでくる。

「本っ当に、ふざけてますわ!」

でも、自分のほうが『普通』ではないからこそ、その『普通』は大事で。
―――思い起こすのは、夜歌高校での日々。
自分には、とても大切なものだったのに。
ようやく『普通』に紛れることができたと思ったら。
『普通』の居心地の良さを知れたと思ったら。
今度は、レネゲウトウィルスにまた平穏を壊された。

「本当……、ふざけてますわ」

早乙女 結花

久井 頬助

設楽 艶髪

そして、いっぱいのみんな。

全部全部、自分にとって大事なものだったのに。

――何処かで負けることでも望んでるのか?

塵内改悟にはそう聞かれた。
いつまで経っても『普通』にさげすまれる。
『普通』に立てたら、今度はそれを奪われる。
こんな世界なら、もういらない。
こんな世界なら、自分のいる意味なんてない。
そう思ったのは、たしかに事実だ。

――覚悟が甘い?

自分の居場所を奪ったものをこれから叩きに行こうというのに、どこが甘いというのだろうか。
もはや、失うものなんてなにもないというのに。

「そう…そうですわ」

失うものなんて、なにもない。
残ったのは、ちっぽけな正義感と
非常に人間らしい『普通』の復讐心だけだ。

「わたくしの覚悟が甘い……?」

辺りを見回す。
ジャームは、みんな、みんな、崩れ果てている。

「わたくしは……こんなにも強い」

必死で放ったエフェクトを、たかが塵内改悟程度に惨めに抵抗されてたりなんかしない。
あれは、彼も居場所のなかの人物だったから手加減したことに彼が気づいていなかっただけだ。
きっと、そうだ。
だから、きっとうまくいく。

「そう…うまく行くに決まってますわ」

ジャームの墓場を見て、笑う。
空に、高らかに笑いを響かせる。

失うものなど、もう、なにもないのだから。

GM 繰鐘麗香は、そうして、記憶の螺旋階段を抜ける。
自己を擁護し、自己を弁解し、自己を保ちながら、他者と世界を否定して。
防壁を厚くして、灰色の世界へと戻っていく。
それは、実に普通の――人間らしい、戦い方だった。




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