GM |
まぁ、とりあえず始めてみましょう。 灰色に埋もれた街第五回、始めます。 |
麗香 | お願いします |
尚 | よろしく。 |
GM | よろしくお願いします。最初は尚君からで。 |
尚 | OK |
GM | ま、普通に振っていいですよ。登場侵食は。 |
ダイス |
31+1D10 = 31+[5] = 36 8R+5 = [8,4,2,1,5,9,4,7]+5 = 14 |
尚 | 汚染レベル聞いてなかったけど前と同じく3でいいのか。 |
GM | いや、汚染レベルなど考えず、普通に振っていいのですが、ここは。(笑) |
尚 |
ひい。 既に普通の定義が変わっていた。 |
GM |
というわけで。 |
GM |
ふっと気がつくと、真っ白な空間が広がっています。 右も左も上も下も白い。けれど、まぶしくはない。 |
尚 | 壁があるわけでもなく、どこまでも真っ白? |
GM |
はい。 がらーんと広がってます。 特に音が聞こえるわけではないですが、耳が痛くなるような静寂でもありません。 |
尚 |
「なるほど」と、余裕があるふりをしつつ座りこもう。あぐらをかく。 右も左もわからないのに焦っても仕方ない。 そうして、周囲を見回してみよう。何か見えるものはあるか? |
GM |
特にありません。 でしたが。 儚恵「あ、あの……」 と、隣に……黒い服の女性が立っています。 |
尚 | 「ん? ああ。お久しぶりです」と、座ったまま頭を下げる。 |
GM |
儚恵「その……叢雲寺ではお世話になりました……」 お辞儀をします。 |
尚 | 「いえ、こちらこそ。どうぞ座ってください」と言う。 |
GM |
儚恵「は、はぁ」 座ります。 |
尚 |
…勧めておいてアレだけど、ミニスカはいてたりはしないよな? さすがにその状態で座れとは言えない。 |
GM | 以前絵に描いた通りです。(笑) |
尚 | ロングスカートだったな。確か。 |
GM |
長いスカートです。はだし。 さて。 彼女が座った のは、畳の上。 |
尚 | 便利だなぁ |
GM |
気がつくと、 そこは叢雲寺です。 儚恵「……ご存知の通り、その……ここは、レネゲイドクリスタル“仮初(Area of Fake)”の構成する、意識のみの仮想空間です」 拙い言葉ですが、 するすると頭に入ってきます。 |
尚 |
「理論と実体験というのはずいぶん違うものですね」 「全身像まで再現できるなんて。俺はてっきり、目玉だけ浮かんでるのかと」 |
GM | 儚恵「は、はぁ……」 |
尚 | 「冗談です」本音を言えば、チャットのようなものを想像していた。 |
GM |
儚恵「新垣尚さんとリンクを繋ぐ過程として、一時的に尚さんの人格――経験・記憶・傾向を、同期インストールする必要があります」 儚恵「その副産物……ですね、この空間は」 |
尚 | 「死んだ者の人格を再現できる、と聞いていますが」 |
GM |
儚恵「そうとも、言えます」 儚恵「新垣さんが、何かを思う、と、それに釣られるようにして、関連記憶が呼び起され、周囲を構築します」 |
尚 |
「じゃあ、次は手塚治虫とドストエフスキーのコピーお願いします」 火の鳥とカラマーゾフの兄弟の続編が読みたい。 どちらも続編が出ないまま作者が死んでしまったからな。 |
GM |
どさどさ、っと、 手塚治虫の漫画と、罪と罰などの分厚い本が周囲に積まれます。 |
尚 | 「(口笛を吹いて)こりゃすごい」冗談で言ったのに、マジで出てきて内心びっくり。 |
GM |
儚恵「本人のデータは、私の中にも、新垣さんの中にもないので、これが限界ですけれども」 儚恵「このように、呼び起された記憶に刺激を受け、また何かを思い、新たな関連記憶が呼び起こされる」 儚恵「ここが叢雲寺なのも、『私』――『瀧儚恵という人物のイメージ』を起点とした、関連記憶ですね」 儚恵「呼び起されるのは新垣さんの中にあるものだけではなく、私の中にストックしてある記憶も同時に想起されます」 |
尚 |
「ああ、俺がソラリスシンドロームの持ち主だったらなぁ」大げさにため息をついて肩をすくめる。 「そうしたら、自分にエフェクトを使って、都合のいいように記憶を改造できたのに」 |
GM |
青藍「そう上手く行くものでは御座いません」 と、秋土青藍が尚君の後ろに。 ソラリスシンドローム、という考えに想起されたのでしょう。 |
尚 | 「まあ邪道もいいとこだってのは認めますがね」と、振り返って青藍さんを指さし「これもコピー?」 |
GM |
儚恵「はい。それは新垣さんの思う秋土さんです」 青藍が軽く頭を下げます。 青藍「御機嫌よう、“Light”」 それはいつもUGN支部で会った時の挨拶。 |
尚 | 「なるほど。言えてる」三歩後ろからついてくるたしなめ役、みたいなイメージ。 |
GM |
儚恵「秋土さんのことは、私もよく知らないので、ほとんどが新垣さんのイメージですね」 儚恵「私の中には……現在進行形で、日告市のレネゲイドの回収・浄化・精製による、様々な記憶……『記録』が蓄積され続けています」 儚恵「それは、この街で死んでいった皆様の知識とも人格とも言えます」 儚恵「彼らと会い、会話し、関連記憶を想起することが、いわゆる『リンクの構成』になります」 と、儚恵は言います。 まとめると。 尚君が街で死んだ人をイメージする→尚君の記憶に刺激され、儚恵の中にあるストックから、彼らの人格が再現される→ その人格と会話する→さらに関連記憶が呼び起こされる。 これを繰り返すことで、“仮初”と尚君が同期・リンクされるってことですね。 |
尚 |
うぇーい。 そういう風に説明されると、改悟から一人一人呼び出さなきゃならなそうな気になってくる。 |
GM |
ま、全部追ってる余裕はないですし、この過程自体、外から見たら一瞬の出来事なので、 元に戻った時に覚えている内容は微々たるものです。 |
尚 |
了解。 まあ、改悟に会ったところで、今更、話したいこともないしな。 あるとしても、「もしあの世があったら笑窪と適当にやれや」ってことくらいだ。…が、コピーごときに言ってやるほど暇でもない。 |
GM |
儚恵「……ということです。それでは、会いたい方・行きたい場所のイメージをお願いします」 そう言われた時には、その言葉に刺激され、 尚君のイメージが想起されています……。 |
尚 |
というわけで、艶髪先生を思い出そう。 (現状、艶髪先生のエフェクトは貴重だ。可能ならば手に入れたい)と、下心丸出しで念じる。 |
GM | おや。艶髪先生ですか。 |
尚 |
二話、三話の登場人物とは関わりが深いとは言えないからなぁ 和尚を気に入っているのはPCじゃなくPLだし。 |
GM | 艶髪先生と言えば、尚君にとってどんなイメージですかね。学年が違うので、担任ではないですが。 |
尚 | うーん、気は弱そうだが、わりといい先生だったんじゃないか。 |
GM |
はい。 まぁ、生物の先生でしたね。 高二なので、生物選択でないと交流は少なかったかも。 |
尚 |
ナマモノの先生。 まあ俺はノイマンシンドロームだし、売りの分野で後で困らないようにするために、一応、全教科に手を出してたと思うぜ。 仲が良いというわけではなかったと思うけれど。 |
GM |
ということなら 尚君にとっては、一番最近の、四季奏総合病院前での接触が印象的かもしれませんね。 エフェクト目当てですし。 |
尚 |
なるほど。 そうだなぁ 最後だけいいとこ見せやがって。あれは卑怯。 |
GM |
ふっと気がつくと。 雨に降られています。 瓦礫だらけの街。 灰色の街。 |
尚 |
ふと、自分がただ一人座っていることに気づく。 記憶からできた街。 その中で、俺だけが――異物。 思い出の人々が、それぞれに決断をし、命をかけ―――そして死んでいく。 |
GM |
顔のたくさんついた槍を、首なしの彼女――設楽艶髪が持っている。 艶髪「街はこんなになってしまったけれど「私は貴方達生徒がいれば、ぁ「この街を脱出……」 ぶつぶつ、と、彼女は喋っていて。 やがて、尚君の方を見ます。 |
尚 |
「やれやれ。よりによって、こんな再会とはね。バチが当たったかな」 「まあ、“どうせ私の体が目当てなんでしょう”と言われても仕方なくはある」 |
GM |
艶髪「あらぁ「確か貴方は、二年「二年生の……」 艶髪「二年生の―― そう」 ざーっと雨の音が消えます。 周囲を見れば、 生物室―― 艶髪「二年生の、新垣尚君ね」 と、視点を戻せば、正常な様子の設楽艶髪先生です。 ああ、確か……彼女と初めて会話をしたのはここ、だったか。 放課後の――夜歌学園高等学校。 艶髪「はい、塵内君のノート。今度は忘れないように言っておいてね、ぇ」 柔らかく微笑みます。 |
尚 |
「どーも。だが、今回はUGNとして来てるんですよ」 「学生じゃなくてね」 |
GM |
艶髪「UGNぅ……?」 彼女は首を傾げ、席の一つに腰掛けます。 |
尚 |
「ええ。まあ…、ただの半端物の集まりですよ」 人にもなれず、化け物にもなれず。中途半端はよくないと最初に言ったのは誰なのか。 「単刀直入に言いますが、先生の力をお借りしたい」 |
GM |
艶髪「そう……何か先生に用が在ってきたのね」 何処か納得したように、彼女は頷きます。 |
尚 |
「まあ、先生の家族でも恋人でもありませんし」 だから、用がないのに会いたがったりはしない。 |
GM |
艶髪「それはどういうたとえかしら、ぁ」 ちょっと困ったように眉根を寄せます。 |
尚 |
「純粋に、先生の能力を、人類の未来のため…、いえ、半分以上は俺の願望をかなえるために、役立ててくれないかなー、ってことです」 オーヴァードの説明を一からする必要はないよな? |
GM |
艶髪「それは、いいけど、ぉ……」 困ったような顔をしています。 ああ、と、理解する。 これは彼女の記憶、人格から構成されたもので。 彼女にとっての日常はこっちで。 あの出来事は、肯定したくない“記憶”なのだと。 だから、噛み合わない。 彼女にとって、異能の力は「なかったこと」「あってはいけないこと」なのだ。 ただ話していても、なかなか想起してくれないだろう。 |
尚 | さもありなん。 |
GM | 艶髪「……で、先生はぁ、どうすればいいの、かしら、ぁ?」 |
尚 |
「仕方ないな。時間をあまり浪費したくないし…アレを使うか」と言って 後ろから、山吹色のお菓子を出すぞ。 「家庭科部の子に味見頼まれたんですけど、ちょっと先生も感想聞かせていただけませんか?」 「俺、舌オンチなんで」 |
GM |
艶髪「あら、ぁ……そうなの?」 受け取って、箱を開きますが。 |
尚 |
普通に山吹色をしたクッキーが入っている。 ただし、睡眠薬入り。 「さあどうぞ!」満面の笑み。 悪党だな。俺。 いや、人間のクズか。 …というか、この空間で、睡眠薬入りクッキーをすぐに出せるってことは、普段からこういうものを作ってたってことだな。 あーヤダヤダ。 |
GM |
艶髪「…………」 彼女は箱を開いて、止まっています。 艶髪「……これ……」 箱の中身を見つめ、彼女は複雑な表情を見せる。 艶髪「……これは……」 と、箱の中身を尚君の方へ見せてきます。 |
尚 | 「クッキー嫌いでしたっけ?」 |
GM |
中に詰まっているのは、 黒い 赤ん坊のような 小さな生き物。 しきりに何かを叫んでいる。 |
尚 | 「おっと…。間違って(ピー)料理を入れてしまったみたいですね」 |
GM |
赤ん坊「悪党が! 悪党が! 人間の クズが!」 赤ん坊「頭が良いふりをしてるだけ! 聞こえが良いことを言うだけ!」 赤ん坊「世の中を見下して、諦めているだけ!」 赤ん坊「ろくでなし! ひとでなし!」 赤ん坊「はっはー、そうさ! オーヴァードは人じゃない!」 赤ん坊「人間以下さ! 人間なんてどうしようもないクズだけど、それ以下のクズさ!」 赤ん坊「中でも一番クズなのは新垣尚さ! 赤ん坊「それがなんだ! そんなこと知ってる! 尚がクズなのは自分で知ってる! みんな知ってる!」 知ってる! 知ってる! しきりにそう叫び、赤ん坊たちはむせび泣きます。 醜く、醜く。 目的のために、睡眠薬を当たり前に使うようなクズ。 他人を利用してはばからないクズ。 当たり前だ、それが世の中なんだから、生きるってことなんだから、と言い訳をするクズ。 抗うってことが生きるってことなんだと、わかったようなことを言うクズ。 クズ、クズ、クズ、クズ、彼らは泣いています。 |
尚 |
「言ってくれるねぇ」アハハ! と小気味よく笑い。 「だが、そこは思いやりと言って欲しかったな。夢は夢のままに終わらせよう、っていうんだから」そのまま箱を、とん、と横の机に置く。 「たとえ、目の前にいる先生が、幻にすぎなくてもね…」 「まあ、俺がクズだってのは認めるが」 |
GM |
赤ん坊「そんなこと思ってないくせに! そう言い訳してるだけだ!」 そう、箱の中の赤ん坊たちはしきりに叫んではいますが。 気付いている。 あの赤ん坊たちは、自分なのだと。 自分が、少しでも感じた後ろめたさが、 あれを想起しているのだと。 |
尚 |
「そうそう。昔、親に言われたことがあるよ。“なんでお前は親の言うことを聞かないんだ”って」 「俺は、なんて返したかな。確か、“親の方こそ責任を果たしてないだろう”みたいなことを言ったんだ。そうしたら、“言い訳はするな”って言い返されたよ」 「ぶっちゃけさぁ。どっちも変わらないんだよ」 俺の言ったことが、正当な反論だろうと、ただの言い訳だろうと…、親にとっては、“言い訳”という名前の“反抗”にすぎなかったし。俺にとっては、何を言っても言い返される以上、ただの“愚痴”でしかなかった。 |
GM |
言い訳ばかりだ。自分の人生は。そして、その言い訳の方が正しいと信じている。信じていた。正しいことを受け入れられない周りの奴らの方が…………そう言いたくて。 だが、そう。 変わらない。 艶髪「そんなこと、ないと思うわ、ぁ……」 そっと、 設楽艶髪が尚君の頬に触れます。 |
尚 | 「そうですかね?」 |
GM |
艶髪「……ええ」 艶髪「貴方には、譲れないものが在ったのだと思う」 艶髪「今も、そして、昔も」 艶髪「それは、他の人から見たら、それほどのものでなくても」 艶髪「世間から見たら、取るに足りないものだったとしても」 艶髪「自分でさえ、何故そこを譲れないのかわからなかったとしても」 艶髪「きっと、それが貴方を、貴方にしている部分」 艶髪は、悲しそうな顔をしています。 |
尚 |
「…そうだといいですね」 それは時にちっぽけなプライドだったり、厨二病的な“自分の存在意義”なるものだったりしたのだろう。 時が経てば、“ああ、俺はバカだったなぁ”と、苦々しく…しかしなぜか懐かしく思い出すたぐいの。 |
GM |
周囲の情景が変わっていく。 親に大切にされる艶髪、親戚と仲良く、お隣とも仲良く、友達とも波風立たず、いつも笑顔で、記憶に残らないような会話をして、 努力の必要がない程度の勉強をして、進められるままの進路をたどり、流れるままに教師になり、 異変が起き。 戸惑って、 生徒の、根拠のない断言に従って、頼って、 そして――抜け殻のようなまま―― 艶髪「……私には、何もなかったもの」 設楽艶髪は、悪くなかった。 責められないように必死で、だから悪くないと信じて、 何も、何もない。譲れないものなど何もない、設楽艶髪。 |
尚 | まあ、あの状況で歯車みたいな“状況が見えてそうなヤツ”がいたら、みんな頼るわな。俺だってそうする。 |
GM |
艶髪「最後に残ったのは、『先生』って言う……殻だけだった」 ざぁっと…… 雨の中に戻る。 |
尚 | 「立場は、便利ですよ。中身が無くなっても、しばらくは自分を守ってくれますから」 |
GM |
艶髪「ふふ……でもね……生きた心地は、しないものなのよ」 雨の雫とは違う何かが、彼女の頬を伝う。 艶髪「……持って行っていいわ、ぁ……でも、先生……どうすればいいかわからない、から……」 彼女の人格。 最後まで、先生というかりそめの器に従った、彼女の人格。 気付けば、尚君の手には、小ぶりなナイフが握ってあります。 |
尚 | 「…いや、まあ。俺もカンペキにわかってるわけじゃないんですけどね」苦笑いしつつ。 |
GM | 経験点を消費して、彼女を突き刺せば、望みの物を刳り抜けるでしょう。 |
尚 | やだなぁ。注射するくらいまでまからない? |
GM |
なんない。奪い取るんですからねー。 奪い取る、ってイメージが必要。 手を汚さないとかありえない。 |
尚 |
ではサクッと。 UGNでやった訓練を思い出しながら、頚動脈をすっぱり。 即死を狙って。苦痛を感じる間もなく…というのは俺の願望に過ぎないが。 |
GM |
では、予想よりはたやすく、しかし思ったよりも重く、刃が突き刺さります。 そして、だんだんと彼女の力が失われ、もたれるように…… 何が欲しいのですっけ? |
尚 | 《妖の招き》 |
GM |
なら、問題なく取得できますね。 髪の毛で出来た縄が、ナイフの代わりに握られているのを感じます。 |
尚 |
じゃあ、最後は定型句でしめよう。 静かに、別れの挨拶を呟く。 「せめて安らかに」 |