第四棺

唯麗しきあの人の埋没the Vale of monochrome

Opening 2
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   ■シーンプレイヤー:新垣尚◆

GM では、次に行きましょう。
次は尚君です。
よろしいですか?
了解。
GM では、ハンドアウト。



PC2 新垣尚(あらがき たかし)
 
 ――いったい新垣尚君は、何故UGNに居るんだい?
  そうさ。ここに居る『必要』など無い。
  私達は優秀な君に、是非力を貸してもらいたいとは思っているがね。
  ふむ――ものは相談だ。君――部隊を率いてみないか――
 回想。記憶。つまらない、感傷。支部長の言葉。
 ――おはよう、初めまして。
  僕は四季奏是色だよ、君のクラスメイトだよ。
  君ってなんだか、歪んでるけれど真っすぐだと思う。
  きっと、君の重力は斜めなんだね――
 出会い。別れ。そうして、目を開ければ、病院が見えた。
 
シナリオロイス:下記の二つから選択
・冬水真冬(ふゆみず まふゆ)  推奨感情P/N:誠意/憤懣
・四季奏是色(しきそう ぜしき) 推奨感情P/N:感服/無関心



GM 汚染レベルは3です。
対汚染どうぞ。
ダイス 8R+5 = [7,5,4,1,2,3,7,10][7]<クリティカル>+5 = 22
問題なし。
浸食率
ダイス 1D10+30 = [7]+30 = 37
GM お見事。
では、この間のOP直後からで良いですよ。
わかった。
えーと、こちらから始めた方がいいのか?
GM 適当なころ合いで、
結花さんをほっぽって、ちょっと疲れた様子で青藍さんが近寄ってきます。
わかった。
結花 ほっぽとかれた結花さん
いや、出てもいいけど、浸食率上げたいか?(笑)
まあ、とにかく…
GM はい。


尚は、やっとのことで列車の壁を這い上がり、床にどたっと転がった。
グェっ、と、カエルが潰れたような声でうめく。
その右肘から先はなかった。
両足も、というか下腹部から下もなかった。
後は右耳、右半身の皮膚、
そして何より、今の俺は、目が見えなかった。
利き腕でない方の腕だけで、よく壁を乗り越えて戻ってこられたものだと思う。
…まあ、別に、死んでもよかったのだが。
「痛ってぇ………」
全身のレネゲイドウィルスが活性化し、傷が、少しずつふさがっていく。
「辛い分、ワリにあわねぇ」自虐的な笑みを浮かべる。
怪我をするのはいつものことだった。そしてすぐに治るのも。
尚にとって、生死は、その程度の軽さしかなかった。
しかし…
ふと、気がついた。
傷はふさがっていくが、今は、ふさがる“だけ”――つまり、視覚、右耳、右腕、下半身が失われたままだということに。
「………」気づいた瞬間、愕然とした。
この街の状況によるものか、それとも回復量の限界を超えたのか…、それはわからなかったが。
少なくとも、今の自分に残された選択肢は、ただ、真っ暗闇の中、地面をはいずることだけだった。
GM では、そこに秋土青藍さんが近寄ります。
青藍「……何をなさってらっしゃるのですか、“Light”」
冷静な声。
手に、ひんやりとした感覚を感じます。
どうやら、彼の手が触れたようです。
「うぅ……」
ずるずる。
オルクスの能力と、聴覚はまだ残っているので、おぼろげながら、そこに青藍がいて、どうしているかくらいはわかった。
「死にてぇ…」
GM 青藍「とは言え、良く生き残ったと言わせて頂きたいところで御座います。『なりかけ』とは言え、“Powder”相手に」
「……。…作戦を立てる時間は、腐るほどあった」
GM 青藍「左様で」
「あいつと会ってから…、俺は、ずっと、あいつを殺す手段を考えてきた。あいつがジャーム化した時のために」
GM 青藍「……さすがは、新垣小隊の隊長でらっしゃいます」
だが、それは、言い訳だった。
単に、他人から拒絶されるのが恐ろしくて、“ならこっちから避けてやる”とばかりに距離を置くための、言い訳。
「そして、その計算通りに俺は灯りと殺し合い、勝って生き残った、ってわけだ。笑える話だ」
まさに、“願いは実現する”といったところか。最悪な皮肉だ。
GM ぐっと、持ちあげられる感覚。
青藍さんが、中の方へ連れて行ってくれてるようです。
青藍「……」
閉ざされた視界。
「青藍さん、俺はわかった気がする」
GM 青藍「……何が、で御座いましょうか?」
「辛い目にあいたくないからって、自分の中に閉じこもったり、自己中心的になればばるほど――人間は、“底なし沼”にはまっていく」
GM 青藍「……」
「人はいつか死ぬから。自分一人では、どうあがいても、最後には、負ける」
自分が不利な状況で、いつまでも守るだけでは負けてあたりまえだ。しかし、一度守りに入ると、なかなか攻めることはできないものだ。
GM 負ける。
「だから、本当は、思い切って、どこかで立ち止まらなきゃ…、どこかで、立ち向かわなきゃいけなかったんだ」
GM 青藍さんは、静かに聞いてます。
「間違っていたのは俺の方だった」
“この世は腐ってる”。前は、似たような言葉をよく呟いていた気がする。
確かにそうかもしれない。この世界には、胸くそが悪くなる話が、数えきれないほどある。
しかし、“なら俺が世界を変えてやる”と言わず、世捨て人を気取って、目の前の壁から逃げ出したのは、俺の選択であり、業だ。
「被害者ヅラして、悪いのは俺を責めた奴だ、と開き直って…やっていたことと言えば、そいつらと同じ。無理やり我を通すことだけだった」
その“我”ですらも、その場のちょっとした気分や経験で、簡単に変わるものにすぎないのに。
まるで神様を信じるかのように、自分を絶対的なものだと崇め。
自分にしがみついて。
――みっともない。
GM ――君は何がしたい。

いつか支部長に訊かれた。
「…なあ、青藍さん。やり直そう」
血を失いすぎたせいで、呼吸は、ひどく浅かった。頭に酸素がいっていない。
目がチカチカして、感覚があいまいだ。左腕がまだあるのかもわからない。
…しかし、口から流れ出る言葉はなぜか、平静な時のそれだった。
「なくしたものを、取り戻すことはできないが…、やり直すことは、いつでもできるだろ?」
生きている限りは。
GM 青藍「……やりなおす?」
「ああ。最初から」
GM 青藍「最初……」
青藍「私の最初は、……冬水真冬……彼とから始まり、それ以外には、考えられません……」

――いったい新垣君は、何故UGNにいるんだい?

そう訊いた、童顔でおどけた様子の――一風変わった支部長。
「なら、まずはこの街から出よう」
「行きたいところに行って、やりたいことをやろう。そのために街から出よう」
GM 青藍「……」
青藍「……図らずも、この列車は外へ向かっております」
ふと思った。自分はこれまで、生きてもいなかったから、死ぬこともできなかったのだと。
GM ――きっと、君の重力は斜めなんだね――

落ちるところに落ちない。
着地地点を見誤って、見誤って――
初対面の四季奏是色――異様なクラスメイトは、初対面で、君を、どう言ったのだっけ。

――歪んでる

  ――歪んでる……
違う……

――けれど
――歪んでるけれど、真っすぐだと思う――


と、そう言っていた。
どう言う意図だったのか、今や知ることはできない。
これまで手に入れたものは、何もかも無くした。
だからもう一度、始めよう。
「やり直そう、人生を。始めよう、生きて死ぬために」
GM 青藍「……」
青藍さんが黙っています……が、
青藍「ええ……。それができるのなら、それも良いかも知れません……」

――びくっ。

と、となりの青藍さんの体が突然強張ります。
青藍「なっ……」
青藍「――四季奏……」
青藍「四季奏、是色が……」
青藍「“彩める空(monotone sky)”が――消えた……?」
「まさか…」
GM ―― がくん!

急に、周囲全体が揺れます。
そして―― 一瞬の間が空いて――
 
ゴガガガアアアガガアアアアアッ
 
音としても意味を成さないような轟音。
 
意識が途絶えて――


GM ――頬を打つ冷たい感覚。
意識を、が浮上してきます。
どうやら、雨……の、ようです。
青藍「……生きて……いますか、“Light”……?」
声をかけられます。
じゃあ、頭を下にして、垂直に地面に埋まっている。スケキヨー
GM 窒息するわな。
大丈夫、オーヴァードだから! …っていうか、冗談だよ。(笑)
「とりあえずは」
じたばた。
GM ぐ、ずりり、と。
起こされます。
青藍「どうやら……」
青藍「列車が、脱線して……投げ飛ばされたようです」
青藍「先ほど……“彩める空”らしき人物が去っていくのを見ました……追いかけねば……」
「やれやれ。ここからは歩きか…。車椅子か何か、あればいいんだが…」
GM 青藍「貨物輸送用の台車を使いましょう……こちら、持っていて下さいますか」
と、何かを手渡されます。
残った左手で受け取ろう。
しかし、利き手ではないので、かなり動作がたどたどしい。
持ち替えようとして、何度か取り落としたりする。
GM 何か、鼓動というか、波動というか、物体なのに生きた感じをします。
“仮初(Area of Fake)”のようです。
「これは…」
GM 青藍「運良く、破損したドライブを発見できましたので、回収いたしました」
今はどんな形?
GM 長方形の、箱型。
直方体、か。
そんなに大きくはなく、片手で十分持ち歩けます。
「持つの? …俺が?」
左手と、先の無い右肘を振って。今の俺じゃ荷が重すぎる、とアピール。
しかしひどいザマだな。火の鳥のロビタかと。
GM 青藍「私に持たせて置くよりは安心でしょう」
「そうかぁ?」
GM 適当に新垣君を固定して、青藍さんは台車を転がし始めます。
ううっ、荷物扱い…
まあお荷物という点は否定できないが。
GM 青藍「“Light”……貴方にも役に立って頂きます」
青藍「“彩める空”を追いつつ、支部を目指しましょう」
「了解」
GM ガラガラガラ。


GM というあたりで、シーンカットでしょうか。
シナリオロイスどうぞ。
四季奏是色(しきそう ぜしき)に●好奇心/無関心かな。
GM はい。




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