GM | さて、よろしければ黒兎さんもやりますけれど。 |
黒兎 |
解りましたお願いします |
GM |
自分の周りを、不気味な木々が埋め尽くしている。 幽霊のように揺らめき、悪鬼のように蠢き、そして人間のように全てを憎む。 奴らを――残った力で断ち切りながら―― 今までのことを、思い出す。 自分の人生は、どんなだっただろうか。 |
黒兎 | 「父さん、母さん。貴方がたに頂いた命。無駄にはならなかったでしょうか」 |
GM |
父親――母親――家族。 平凡な――自分にとって。普通に――大切なものだった。 しかし、それもここで散る。 |
黒兎 | 「爺ちゃん、婆ちゃん。今まで育ててくれてありがとう。無駄だと思っていた剣道で、人を助けることもできた」 |
GM |
そう――それは収穫かもしれない。 かつてうけた指導――受け継いだ技、得物。 それらがなかったら。 自分は、ここまで頑張れなかったかもしれない。 |
黒兎 |
「この刀をこんな場所に残していくのは悪い気がするけど、これでもカガヤキ倶楽部の幹部なんだ」 「だから……」 |
GM |
カガヤキ倶楽部―― まるで ―― 滑稽だけど。 こんな街の状況で、こんなに切羽詰まった世界になって、初めて。 『仲間』と。 屈託なく呼べる人達に、会えた気がする。 |
黒兎 | 「最後の最後まで輝いてみせるよ。仲間のために」 |
GM |
何もかもがくすんで、埋没されて行く世界の中で。 確かに手にした――この、“カガヤキ”。 目標が、半ばに終わってしまっても。 思い描いていた、現実に到達できなくても。 今でも、確かに、輝いて―― こんな 絶望と 死者に囲まれても ―― 光の迸りは、留まるところを 知らない――! |
黒兎 | 「カガヤキ倶楽部幹部! 稲葉 黒兎! 貴様ら程度でこの新月と俺たちの輝きを消せると思うな!」 |
GM |
がああんっ! 暗い暗い、幽鬼の木々に覆われた一角に―― ――確かな輝きが瞬き ―― ―― そして、やがて 消えた。 |