GM |
エンディングです。 自律判定を振らなかった人、失敗した人は、ここでジャーム化します。 |
糸緒 | はい |
GM | ただ、阿舎自然率いる、死者の森に埋もれている場合、 |
結花 | 吸収合体ですか? |
糸緒 | いやん(笑) |
GM | 自動的に殺害、または人格が判別できない領域まで分解されて吸収されます。 |
糸緒 | 殺害されたほうがマシっ!?(笑) |
GM |
まぁ、名残が残るだけで、死ぬのとほとんど一緒ですよ。 どうしても嫌な人は自殺するか、死ぬ演出をして下さい。 |
糸緒 |
どっちもいやですよ……(笑) 自殺、かなぁ |
結花 | できれば、もう2度とあいまみえたくないな。死者の森 |
糸緒 | なんどもあってたまるかって感じだよね……(笑) |
結花 | いや。今度あいまみえると、糸緒ちゃんや黒兎くんの顔があるから、会いたくない |
GM |
はい。 本当はラスボスです。 |
糸緒 | なんてこった |
GM | では、糸緒さんからカメラ移していきましょうか。 |
糸緒 |
はい |
GM |
憎しみが、憎しみが――亡者たちの狂おしく苦しい、悲しき声が 糸緒さんを取り囲み、押し寄せてきます。 苦悶の表情。憎悪の感情。痛いほどにわかる、死者どもの声。 |
糸緒 | ノワールは……? |
GM | 逃がしたんですっけ? |
糸緒 |
逃げてくれるなら。 お願いはしました |
GM | なら、もうここにはいません。 |
糸緒 |
じゃあ、一人ぼっちになって 涙をぬぐってます。 で、声をかけます。 「……クモさん、いたら私に力を貸して……飛鳥お兄さんみたいに……」 と新たに《ハンドリング》 |
GM | 蜘蛛! |
糸緒 | はい。 |
GM | では、ざわざわざわ、と蜘蛛が集まってきます。 |
糸緒 |
「……」笑って、撫で……れないサイズだろうから、そのまま、呆然として前を見ます。 「……私ががんばったら、みんな、にげれるよね……?」 |
GM |
薄暗い街。 あれから、日差しを見たことがない。 木々に覆われ、さらに暗く。絶望のように暗い。 肺腑が重くなっていくような心地。 |
糸緒 |
「……」 ぎゅっと自分の身体を抱きしめます。 怖くて、座り込んじゃわないように。 「……まぁ……ぱぱぁ……のわーる……」 目に涙がにじむ。 |
GM |
木々「理不尽だ」 木々「……酷い、酷い」 木々「何も――悪いことなど――」 木々「――していなかったのに――」 |
糸緒 |
「……そうだね。そうかもしれない……」 「……でも、ここにくるまで、わたしは悪いことしちゃったよ……」 |
GM |
木々「過去があった」 木々「――経歴があった。歴史があった」 木々「生活があった――家族があった、友があった」 木々「未来があった――将来があった――望みがあった――」 |
糸緒 | 「……しあわせだったよね……」 |
GM |
だが、そんな物は。 等しく。 虚しく。 灰色に沈み、埋没していく。 木々「――にくい、にくいにくい――憎い 憎い 憎々しい」 木々「なぁ そうだろう――?」 |
糸緒 |
「……」 「……ううん」首を横に振る 「いままで……ずっとずっと、誰かにまもってもらってた」 「だけど……今の私なら、そのおんがえしができる……」 「怖いけど……にげたいけど……でも……にくくなんてない」 「こんな世界になっちゃっても……ママにもう一度会えたから……」 つぅ、と涙が溢れる。 ひっくひっくと、しゃくって。 涙をぬぐって。 「……だれも恨んだりなんて、しない」 にっこりと無理やり微笑む |
GM |
木々「にくい、憎い、憎々しい」 木々が、鋭い枝を四方から伸ばして来ます。 |
糸緒 | 「……どうして、そんなふうに誰かを憎むの? どうして……幸せだった時の事を忘れちゃうの?」 |
GM | ずびゅっ! |
糸緒 | 回避はできないのです…… |
GM |
なら、容赦なく体を貫いて行きますね。 ずぶずぶと。 |
糸緒 | 「あぅぅ……」 |
GM |
枝が、薄い肌を裂き、やわらかい肉を押しのけ、華奢な骨を砕き、内臓を絡め取る―― 血が滴り、木々に沁み込んで――染み込んで、いく。 |
糸緒 |
「クモさん……おね、がい……っ」 貫いてきたのをクモにお願いして排除……できるかなぁ。 |
GM |
抜いてくれますよ。 ずぶずぶ、ずばっと。 木々「足りない――憎い――ィイイイィイイイィイイイ!」 |
糸緒 |
「……どうして」 「どうして、そんな風になっちゃうの……」 ひっくひっくと泣きじゃくる。 |
GM |
脳を揺さぶるような、衝動。 糸緒さんの体中を、恐怖が支配して行きます。 |
糸緒 |
「やだよぅ……ママ……助けて……怖いよう……」 耳をふさいで、身を縮める。 |
GM |
自分で捨てたんじゃないか。 守ろうとしてくれた親を。 ここでまた頼るんだ。 |
糸緒 |
(だって、私もうダメだってわかったんだもん……) (ママを殺しちゃう化物になんてなりたくなかったもん……) |
GM |
結局、気まぐれで、強がって見せた、だけで、 わたし は ただの とるにたらない ちっぽけで 無力な 子供 ―― 守られて 守られて 守られるだけで わがままなだけで 世話になって 他人を使い捨てにするだけの ―― |
糸緒 |
(知らない……聞きたくない……っ!!) (いや……やだ……) |
GM | 「 糸緒 ー !! 」 |
糸緒 |
「……?」 目をあけて、塞いでいた耳を放す。 |
GM |
ざんっ! 漆黒の影が、周囲の木々を薙ぎ払います。 そのシルエットは――黒い犬に見えますね。 ――見慣れた――しかし、どこか違う。 少し遅れて、日向糸織さんが着地します。 |
糸緒 |
「……ま、ま……?」 ぽたぽたと涙が顎を伝って、地面に落ちて行く。 「どうして……?」 |
GM |
日向さんの従者、モデルはノワールですね。 それは――糸緒にとって、最も心強いシルエット。 |
糸緒 |
「ノワール……? 違う……けど、なんで……?」 涙が止まらない。 |
GM |
糸織「おいて行けるわけ――、ないじゃないの!」 にこっと、微笑んで。 |
糸緒 |
胸を締め付けていた恐怖が、消えていく。 「だって……だって……ここにいちゃ……」 くしゃり、と顔が歪む。 |
GM |
糸織「糸緒、ひとりじゃ寂しいでしょ」 糸織「あたしだって、ひとりの時は寂しかったのに」 |
糸緒 |
「けど、でも……」 ひっく、としゃくって、よろり、と立ち上がって。 「……ここ、あぶないんだよ……? きっと死んじゃうんだよ……?」 |
GM |
糸織「大好きな、自慢の娘に、そんな思いさせて――生きていけないよ」 糸織は、娘を抱きしめる。 こんな中で、強く、強く。 |
糸緒 |
「〜〜〜っ」 「うわぁぁぁぁぁぁああああんんっ!! ままっ!! ままっ!!」 ぎゅうう、と抱きついて泣きじゃくって、母の胸に泣きつく。 |
GM |
糸織「あいつらに耳を傾けちゃ駄目よ」 糸織「あれは、闇」 糸織「みんなの、誰もの心の中にある、闇が、形になったんだよ、きっと」 |
糸緒 | 「やみ……?」 |
GM |
憎悪の声が。 怨嗟の嘆きが。聞こえないほどに強く、娘を抱きしめる。 糸織「引きずり込むのさ。あたし達の――輝きを」 |
糸緒 |
「……わかった……あんなの、きかない……ママと一緒にいたら……聞こえない……」 抱きしめられたまま、柔らかい笑顔を母親に向ける。 |
GM |
糸織「大丈夫。あんたはいい子だ。強い子だ。ひとりで散歩にもいける。買い物にも行ける。お手伝いもしてくれる。笑いかけてくれる。人を気にかけられる。あたしの……」 糸織「あたし達の……自慢の子だから……大丈夫」 |
糸緒 | 「うん……ありがとう。ママ……」 |
GM |
そこで気付きます。 お母さんの体も、もう、ぼろぼろで。 あちこちが欠けていて。 呼吸も絶え絶えで。 心拍も、儚い。 それでも、まだ――あたたかい。 |
糸緒 |
「……ごめんね、ママ。むりさせて……でも」……私、さいごにあえて…… 「……嬉しかったよ。ママ。―――大好き」 |
GM |
周囲では――木々が――絶望を運ぶ死者の森が。 二人を取り囲んで。 道連れにしようと―― している。 糸織「あたしもだよ。糸緒」 |
糸緒 |
「うん」 |
GM |
…… ………… ! …… …… …………。 暗く、灰色の空間に散る、赤い花。 そして、埋め尽くすように、森が行進を続けていく。 |