第三棺

尊く懸命な輝きの埋没the Twinkle of monochrome

Ending... 1
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   ■シーンプレイヤー:日向糸緒◆

GM エンディングです。
自律判定を振らなかった人、失敗した人は、ここでジャーム化します。
糸緒 はい
GM ただ、阿舎自然率いる、死者の森に埋もれている場合、
結花 吸収合体ですか?
糸緒 いやん(笑)
GM 自動的に殺害、または人格が判別できない領域まで分解されて吸収されます。
糸緒 殺害されたほうがマシっ!?(笑)
GM まぁ、名残が残るだけで、死ぬのとほとんど一緒ですよ。
どうしても嫌な人は自殺するか、死ぬ演出をして下さい。
糸緒 どっちもいやですよ……(笑)
自殺、かなぁ
結花 できれば、もう2度とあいまみえたくないな。死者の森
糸緒 なんどもあってたまるかって感じだよね……(笑)
結花 いや。今度あいまみえると、糸緒ちゃんや黒兎くんの顔があるから、会いたくない
GM はい。
本当はラスボスです。
糸緒 なんてこった
GM では、糸緒さんからカメラ移していきましょうか。
糸緒 はい



GM 憎しみが、憎しみが――亡者たちの狂おしく苦しい、悲しき声が
糸緒さんを取り囲み、押し寄せてきます。
苦悶の表情。憎悪の感情。痛いほどにわかる、死者どもの声。
糸緒 ノワールは……?
GM 逃がしたんですっけ?
糸緒 逃げてくれるなら。
お願いはしました
GM なら、もうここにはいません。
糸緒 じゃあ、一人ぼっちになって
涙をぬぐってます。
で、声をかけます。
「……クモさん、いたら私に力を貸して……飛鳥お兄さんみたいに……」
と新たに《ハンドリング》
GM 蜘蛛!
糸緒 はい。
GM では、ざわざわざわ、と蜘蛛が集まってきます。
糸緒 「……」笑って、撫で……れないサイズだろうから、そのまま、呆然として前を見ます。
「……私ががんばったら、みんな、にげれるよね……?」
GM 薄暗い街。
あれから、日差しを見たことがない。
木々に覆われ、さらに暗く。絶望のように暗い。
肺腑が重くなっていくような心地。
糸緒 「……」
ぎゅっと自分の身体を抱きしめます。
怖くて、座り込んじゃわないように。
「……まぁ……ぱぱぁ……のわーる……」
目に涙がにじむ。
GM 木々理不尽だ

木々……酷い、酷い

木々何も――悪いことなど――

木々――していなかったのに――

糸緒 「……そうだね。そうかもしれない……」
「……でも、ここにくるまで、わたしは悪いことしちゃったよ……」
GM 木々過去があった

木々――経歴があった。歴史があった

木々生活があった――家族があった、友があった

木々未来があった――将来があった――望みがあった――

糸緒 「……しあわせだったよね……」
GM だが、そんな物は。

等しく。

虚しく。

灰色に沈み、埋没していく。

木々――にくい、にくいにくい――憎い 憎い 憎々しい

木々なぁ  そうだろう――?

糸緒 「……」
「……ううん」首を横に振る
「いままで……ずっとずっと、誰かにまもってもらってた」
「だけど……今の私なら、そのおんがえしができる……」
「怖いけど……にげたいけど……でも……にくくなんてない」
「こんな世界になっちゃっても……ママにもう一度会えたから……」
つぅ、と涙が溢れる。
ひっくひっくと、しゃくって。
涙をぬぐって。
「……だれも恨んだりなんて、しない」
にっこりと無理やり微笑む
GM 木々にくい、憎い、憎々しい
木々が、鋭い枝を四方から伸ばして来ます。
糸緒 「……どうして、そんなふうに誰かを憎むの? どうして……幸せだった時の事を忘れちゃうの?」
GM ずびゅっ!
糸緒 回避はできないのです……
GM なら、容赦なく体を貫いて行きますね。
ずぶずぶと。
糸緒 「あぅぅ……」
GM 枝が、薄い肌を裂き、やわらかい肉を押しのけ、華奢な骨を砕き、内臓を絡め取る――
血が滴り、木々に沁み込んで――染み込んで、いく。
糸緒 「クモさん……おね、がい……っ」
貫いてきたのをクモにお願いして排除……できるかなぁ。
GM 抜いてくれますよ。
ずぶずぶ、ずばっと。
木々足りない――憎い――ィイイイィイイイィイイイ!
糸緒 「……どうして」
「どうして、そんな風になっちゃうの……」
ひっくひっくと泣きじゃくる。
GM 脳を揺さぶるような、衝動。
糸緒さんの体中を、恐怖が支配して行きます。
糸緒 「やだよぅ……ママ……助けて……怖いよう……」
耳をふさいで、身を縮める。
GM 自分で捨てたんじゃないか。

守ろうとしてくれた親を。

ここでまた頼るんだ。
糸緒 (だって、私もうダメだってわかったんだもん……)
(ママを殺しちゃう化物になんてなりたくなかったもん……)
GM 結局、気まぐれで、強がって見せた、だけで、

わたし は ただの とるにたらない ちっぽけで 無力な 子供 ――

守られて 守られて 守られるだけで わがままなだけで 世話になって 他人を使い捨てにするだけの ――
糸緒 (知らない……聞きたくない……っ!!)
(いや……やだ……)

GM 糸緒 ー !! 
糸緒 「……?」
目をあけて、塞いでいた耳を放す。
GM ざんっ!
漆黒の影が、周囲の木々を薙ぎ払います。
そのシルエットは――黒い犬に見えますね。 ――見慣れた――しかし、どこか違う。
少し遅れて、日向糸織さんが着地します。
糸緒 「……ま、ま……?」
ぽたぽたと涙が顎を伝って、地面に落ちて行く。
「どうして……?」
GM 日向さんの従者、モデルはノワールですね。
それは――糸緒にとって、最も心強いシルエット。
糸緒 「ノワール……? 違う……けど、なんで……?」
涙が止まらない。
GM 糸織「おいて行けるわけ――、ないじゃないの!」
にこっと、微笑んで。
糸緒 胸を締め付けていた恐怖が、消えていく。
「だって……だって……ここにいちゃ……」
くしゃり、と顔が歪む。
GM 糸織「糸緒、ひとりじゃ寂しいでしょ」
糸織「あたしだって、ひとりの時は寂しかったのに」
糸緒 「けど、でも……」
ひっく、としゃくって、よろり、と立ち上がって。
「……ここ、あぶないんだよ……? きっと死んじゃうんだよ……?」
GM 糸織「大好きな、自慢の娘に、そんな思いさせて――生きていけないよ」
糸織は、娘を抱きしめる。
こんな中で、強く、強く。
糸緒 「〜〜〜っ」
「うわぁぁぁぁぁぁああああんんっ!! ままっ!! ままっ!!」
ぎゅうう、と抱きついて泣きじゃくって、母の胸に泣きつく。
GM 糸織「あいつらに耳を傾けちゃ駄目よ」
糸織「あれは、闇」
糸織「みんなの、誰もの心の中にある、闇が、形になったんだよ、きっと」
糸緒 「やみ……?」
GM 憎悪の声が。
怨嗟の嘆きが。聞こえないほどに強く、娘を抱きしめる。
糸織「引きずり込むのさ。あたし達の――輝きを」
糸緒 「……わかった……あんなの、きかない……ママと一緒にいたら……聞こえない……」
抱きしめられたまま、柔らかい笑顔を母親に向ける。
GM 糸織「大丈夫。あんたはいい子だ。強い子だ。ひとりで散歩にもいける。買い物にも行ける。お手伝いもしてくれる。笑いかけてくれる。人を気にかけられる。あたしの……」
糸織「あたし達の……自慢の子だから……大丈夫」
糸緒 「うん……ありがとう。ママ……」
GM そこで気付きます。
お母さんの体も、もう、ぼろぼろで。
あちこちが欠けていて。
呼吸も絶え絶えで。
心拍も、儚い。
それでも、まだ――あたたかい。
糸緒 「……ごめんね、ママ。むりさせて……でも」……私、さいごにあえて……

「……嬉しかったよ。ママ。―――大好き」
GM 周囲では――木々が――絶望を運ぶ死者の森が。
二人を取り囲んで。
道連れにしようと―― している。

糸織「あたしもだよ。糸緒」

糸緒 「うん」

GM  ……   ………… !   

   ……   ……    …………。

暗く、灰色の空間に散る、赤い花。


そして、埋め尽くすように、森が行進を続けていく。





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