―― ――東京都、日告市。 人類がレネゲイドウィルスに屈した――人類という概念すら忘れ去られたような世界で。 未だ喰われず。忘れ去られたかのように、取り残された、人々の街。 成功だったのか、失敗だったのか。 勝利したのか、敗北したのか。 そんなこともわからないまま、街は持続していた。 音楽 …… かすれたメロディが、穏やかに鳴っている。 使い古された、ラジオもどき。 もちろん、新曲なんて発表されないような時代だ。 流れているのは、かつて流行ったポップス。 生き残りの誰かが、趣味で流している。 カチッ ザ ざざー ザザ…… ざ。 「あー、聞こえてますか? 聞こえてますでしょうか」 「こちら、人類の――人類の生き残り――コロニーの一つ――」 ザ ザーーー 「私は、かつてのUGNエージェント…… 生き残りがいれば 応答願います――」 「応答を――」 ゆらり、と、ラジオに影がかかる。 そう、この街はもはや灰色ではない―― さわやかな青空の広がる、光ある街―― 日が生を告げる―― 東京都、日告市。 ラジオもどきを、その人影は持ち上げ―― 信じられないといった様子のまま、仲間の元へと―― ――駆けて行った。 Double+Cross. The Second Edition... 「灰色に埋もれた街 ――the Coffin of the City」 ――――――Fin... |