第四棺

唯麗しきあの人の埋没the Vale of monochrome

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   ■四区切り。◆

GM 一応、第四棺のエンディングは一通りやったのですが、
その蛇足、というか延長から入ります。



GM 灰色に覆われた街。
灰色に埋もれた街。
まるで棺の中のように、息の詰まる空間。
黄泉路か地獄を歩いてるかのように、救いのない世界。

結局――

四季奏是色は目の前で討たれ。
八重崎怨嗟と多田野仁也は共に死に。
永原剛は命を落とし、塵となり。
早乙女結花は蒸発してしまった。

満身創痍のまま、支部へ……UGNの、日告市支部へ、戻る。
体を、あるいは心を、引きずるように。

到達してみれば、支部は――酷い有様だった。
壊滅は、していないが。
手あたり次第、モノをひっくり返し、壁をひっかき、床を砕いたような、
そんな、状態に、なっていた。

冬水支部長か、秋土青藍によってだろうか――、ちかちかと照明が点いたり消えたりしています。
先ほどの四季奏総合病院に劣らない、というかむしろあちらの方が綺麗だったような感じですね。
「ひどい散らかり方だ。掃除が面倒だな」
「部屋の様子は心の様子、ってか」
麗華 「酷い有様ですわね…」
「とりあえず無事な連中を探すか」
麗華 「無事な方々……」
誰か、何が起こったか具体的に話せる奴はいないのか?
GM 廊下の端々に、座り込んでる人とかはいますが。
まぁ、支部長室へ向かう感じですかね。
そうだな。
麗華 「夜歌高校から一緒だった方々も、とうとう貴方だけになってしまいましたわね」
「おいおい。突然どうした?」
「しんみりしたこと言って」
軽く肩をすくめて。
麗華 「…そうですわね。いまは、とりあえず事態を把握しませんと」
GM はい。というわけで、支部長室。
近づくと、壊れたのか、ドアはあきっぱです。
ばぁん。
「ただいまー」
麗華 「ただいま戻りましたわ」
GM 真冬「おやおや、お帰りだね。新垣尚君、それに繰鐘麗香さん」
真冬「他の連中は――と、まぁ君達にご愁傷さまと言わざるを得ないようだね」
ぎこちなく掌を仰向けにする。
真冬「ご愁傷様、また生き残ってしまったようじゃないか」
「そうかい? 死にたきゃ、いつでも死ねるじゃないか」
「そりゃ、時々、無性に死にたくなることはあるけどな」
麗華 「いったい、なにがありましたの?」
GM 真冬「簡単に言えば、『反乱』だな。いい加減うんざりするもんだ。なぁ、新垣君?」
と言って、方頬を吊りあげます。
「“せっぱ詰まった時は自滅に気をつけろ”ってか」
「みんな暇なんだなぁ」
麗華 「…あなたがこうして落ち着いている、ということは事態は収束したと考えてよいのかしら?」
GM 真冬「まぁね。混乱はしたが落ち着いたよ」
青藍「……」
「で、何が目的の反乱だったんだ?」
GM 真冬「目的? 目的ね」
笑って。
真冬「まぁ、ことの発端は、あれなんだけどね」
と言って、モニタをつける。
夏火果実の研究室に繋がっているのだろう。
壁が映し出されている。
正確には、壁に縫い付けられている人物が。
新手の昆虫標本かい?
GM そうですね。いささか虫ピンが図太い鉄骨ですが。
金田一少年を呼んでこないと。
麗華 見覚えのある人物ですか?
GM はい。
うつむいていてわかりづらいですが、まだ生きているよう。
麗華 誰なんだろう?
GM 産方可愛子です。
麗華 ああ。可愛子か
GM 真冬「とりあえず肺を潰してある」
「そりゃまた酷い」
「肺に穴が空けば、呼吸ができなくなる。窒息死は特に苦しい死に方だ」
「個人的には、半死半生にしておくような“嫌がらせ”をするくらいなら、いっそのことトドメを刺せ、って言いたいところだが?」
「趣味悪いぜ」
GM 真冬「いや、この街の貴重な生き残りだからね」
頭を振ってから、新垣君に目を向けます。
「それは理由にならない」真っ正面から見返そう。
麗華 「…いったい、なにがありましたの? もう少し詳しく教えていただけませんこと?」
GM 真冬「まぁ、彼女は『何か』をきっかけに『この街の外』に興味を持ってしまい、とある聡明な青年――三枝歯車を問いただした」
麗華 「……なるほど。話が見えましたわ」
おっと俺のせいじゃねーか。
GM 真冬「彼女に恩を感じていた彼は、仕方なく『己の予想』を語った。随分真実味のある、ね」
真冬「元はただの高卒の少女だ――どうにかここまで、何かの間違いで、精神が持ってたに過ぎない」
真冬「しっかりせねばという使命感か何かかね。それに頼り切っていた人物も、結構な数いた」
真冬「徐々に圧力をかけられた棒が、ある瞬間、ぼきりと折れるようにして――彼女の均衡は破綻した」
まあ、この世界で理想主義を貫くのは無理があるわなぁ
GM 真冬「その破綻は、彼女を頼っていた人間たちにも波及した。彼らが言うには、真実を隠していた我々が悪い、敵、だそうだ」
麗華 「これだから、普通の方々は……」
嫌悪の表情をちょこっとだけ見せてみよう。
「あるいは、人間と殺りあいたかったのかも」
「化け物に殺されるのと、人間に殺されるのと、どっちが幸せか――? いや、どうでもいい話か」
GM 真冬「まぁ、『畑を作ろう』と言い出したのが誰だかは言及しないとして、そう言うわけだね」
ふん、とつまらなそうに、あるいは面白そうに息を吐いて、真冬は新垣君から目を外します。
いいじゃねーか畑くらい。(苦笑)
麗華 「…その通りですわね。いまはそんなことを話している余裕なんてありませんわ」
そう言って、新垣くんに目で合図を送ってみます
「人生には夢が必要なんだよ」
byショーシャンクの空に
麗華 「いまは夢を語るべきときではありませんわ」
「朝と夜は半々、夢と現実も半々ってわけか。ハッ…馬鹿馬鹿しい」
GM 真冬「さて、そちらからの報告も聴こうか」
まあ、かくかくしかじかで全部しゃべっちゃうか。
良いニュースは言わずにためろ、悪いニュースはすぐ伝えろ、って言うからな。
麗華 反応を待ちます
GM 真冬「ふむ。それで。四季奏是色の行方は?」
ダメだ(笑) なんというか俺たち、全然ダメだ(笑)
探したんだよな? 俺たち。結花探したときに、一緒に。
GM はい。
麗華 「行方知れずですわ」
「どこかの誰かさんと一緒で。ひょっとして、二人で逃げたのかもしれませんわ」
「そいつぁ夢があっていいな」
真顔で。
GM 真冬「彼女は逃げない」
麗華 「……っ」
GM 真冬「だが、まぁ――、例の『反乱』についてだがね。奇妙な点がいくつかある」
麗華 「奇妙な点……ですの?」
GM 真冬「ひとつ、エフェクトをほとんど使わなかった。ふたつ、おそらく君達が八重崎怨嗟とまさに戦闘中というタイミングで起こった。みっつ、夏火果実の研究室を襲った」
麗華 「…それは、妙ですわね」
「夏火の研究室から盗られた物は?」
「あるいは、集中的に破壊された物は?」
GM 真冬「どうも、“仮初”を狙って来ていたようだね。守護できたが」
チキチキ、と、半身の機械をいじっていた真冬ですが、手を机の上に置きます。
麗華 「産方さんの他に先導した方でもいるのかしら…?」
「どちらにせよ、彼女がそこまで知っていたとも思えませんし。なにか裏がありそうですわね」
GM 真冬「何かも何も」
真冬「結論は出ている」
麗華 出てたっけ…? ああ、歯車くん!?
そう言うところを見ると、行方不明なのか? それとも堂々と知らぬ存ぜぬ?<歯車
GM 聞いてみては。
麗華 「……ひょっとして、三枝くんがそこまで知っていましたの?」
GM 真冬「いや、彼はおとなしくしてるよ」
麗華 「では、いったい誰がそこまでの情報を反乱された方々に…」
GM 真冬「情報など渡してないさ」
ため息をついて。
真冬「――、『失敗』したのさ」
麗華 「……失敗、ですの?」
GM 真冬「あるいは『敗北』、か」
麗華 プレイヤーがついていけなくなったので、新垣くんに任せたい…
「あ、腹減ったんでカップ麺食っていいすか?」
と、そこでふとお湯がない―― いや、お湯が沸かせない事に気づく。
「そういえば、ガス管も水道もやられてたな。やれやれ」
GM 真冬「はっ」
そんな新垣君の様子を見て、笑えなさそうに笑います。
「で、何が失敗で、何が敗北だって? もったいぶらないでくださいよ」
GM ボールペンをいじりつつ、彼はいいます。
真冬「“彩める空(monotone sky)”四季奏是色は、我々の希望を一身に背負い、気高く孤独にレネゲイドウィルスと戦い、そして」
真冬「敗北し、屈し、寝返った」
真冬「そう言うことだ」
真冬「八重崎怨嗟に撃たれた? そんなの茶番だ。目くらましに過ぎない」
「なるほど。支部長がそう考える根拠は?」
GM 真冬「彼女のバックには“覆うモノ(ヴェイル)”がついている。この街を覆う雲にして壁にして棺だ」
真冬「“覆うモノ”を『使え』ば、街中を任意に即座に移動ができる。そして、“彩める空”の力とは、『支配』だ」
真冬「街全土に及ぶ《ナーブジャック》――脳髄支配」
麗華 「……はぁ」
盛大にため息をつこう
「それが本当でしたら、もうお手上げですわね」
GM 真冬「彼女に唯一対抗できるとしたら、リンクさせた“仮初”だ――が」
真冬「死守したものの、そのリンクは切られた」
麗華 「いままでわたくしたちがやってきたことはすべて無駄。ここまで来るために払った労力もすべて無駄。やってられませんわ!」
「まあ、気持ちはわかる」
「とはいえ――是色がいる限り、俺たちは所詮“是色のおかげで生きていられる、水槽の金魚”でしかないわけだ」
「正直、あんまりいい感じがしなかったんだよな。そういう立場って」
「自分の命を自分で握ってないっつーのは、つまり、いつ手のひらを返されるかビクビクしながら生きなきゃならないってことだ」
麗華 「はぁ……。それで、これからどうしますの?」
「ここでこうしていても、なにひとつ解決いたしませんわ」
GM 真冬「これから、ね」
真冬「どうにかするかい?」
麗華 「……でも、だからってこのままにはしたくありませんわ」
「仮初をリンクさせることが対抗できる手段なら、なんとかリンクさせる方法を探しません?」
「それ以外の方法でも、けっこうですわ。なにか、考えませんこと?」
GM 真冬「……」
「というか、是色は逆襲してくるのか?」
「仮初とのリンクを切ったのは、“自らの保身のため”という可能性は無いのか?」
「これ以上の戦闘がないなら、いっそのこと是色は放っておくという手もあるんじゃないか?」
とはいえ、個人的には、これで終わりじゃないだろうな、と思ってはいる。
麗華 「ええ。その通りですわね」
GM 真冬「逆襲かぁ、多分しないと思うね」
真冬「何故かというと、町中がある意味、彼女の意のままだからね」
真冬「襲うも何もない。『右へ』と言えば、街の全てが右を向く」
麗華 「支部長の言う通りでしたら、わたくしたちがいまこうして考えて話していることすら彼女の意のままということですもの」
「なるほど。次は町中のジャームを集結させて、ローラー作戦で戦争ごっこ、とか?」
「こっちには負傷者もいるし。そうなったらほぼお終いだな」
GM 真冬「まぁ――意欲的なのは良いことだ」
麗華 「良いこともなにも…、なにもしないためにここまで来たのではありませんもの」
「可能性がわずかでもあるのでしたら、試みてみなければ損というものですわ」
「残された時間は少ないでしょうし」
GM 真冬「その意気やよし」
ふっと笑って。
手を、パン、と叩きます。
真冬「ならば、君達に譲ろう」
真冬「英雄になる機会をね」
真冬「――夏火果実のところへ行くといい」
「エイユウ?」ハハッ、と鼻で笑って。
「冗談。俺は俺であれればそれでいい――英雄なんてどうでもいいね」
麗華 「新垣くんはどうなさいますか?」
「ま、一応行くさ。ここにいても暇そうだしな」
麗華 「敵…と呼べるかはわかりませんが」
「今回の相手はあまりに強大ですわ」
「ここで退いても、誰も責めませんし。もう責めるような方もいませんわよ」
「退く? どこへ?」
「…ああ、なるほど。歯車みたいにゴロゴロしてろってか?」
「まあ、それも悪くないかもしれないな。なら、定年退職したらそうしようか」
「麗香こそ、どうなんだ? 今のセリフ、そっくりそのまま、お前にも当てはまるだろ?」
麗華 「…わたくしには、理由がありますから」
「理由?」
麗華 「とても私的でくだらない、まるで聞いたら笑われてしまうような理由ですわ」
「笑わないつもりだけどな」
「俺は、他人にはできるだけ敬意を払うことにしてるんだ」
「(小声で、冗談めかして)ただし嫌いな奴以外な」
麗華 「……いずれにしろ、ここで話すようなことではありませんわ」
「OK。なら聞かない」
麗華 「行きましょう。新垣くん」
「オーライ」
(支部長に)「おっと、一つ聞き忘れた。結論として、可愛子は、是色の《ナーヴジャック》をくらって反乱を起こした、ってことでいいのか?」
GM 真冬「どの段階で、だかは不明だがね」
真冬「“仮初”を襲ったころにはそうだっただろう。が、最初に暴れた時はそうではなかったかもしれない」
そう言います。
「残念なことに、この状況下で、きっかけの話は無意味…だな」
「とりあえず、情報提供ありがとう」
(麗香に)「悪い、待たせた。それじゃ行こうか」
麗華 「ええ。……許しませんわよ、四季奏是色」



   ◆四季奏是色について、その四。
 
 物事は曖昧だ。
 曖昧に生まれ、曖昧に死んでいく。
 何故なら、全てが確かであるなら、
 生命というものは存在し得なかったから。
 
 けれど、生命はシステムだ。
 生まれて、死んでいくシステムだ。
 そこに意味は無く、意義も無いが、
 人はそのシステムに生命と名付け、定義した。
 
 それは、悲しい話でも、苦しい話でも、疚しい話でも、
 ましてや虚無的な話でもない。
 無意味で自動的なシステムに、
 人は曖昧に定義付けを行い、
 世界を構築し、生命を意味づけた。
 
 生死の確率のはざまに、価値を見出して。
 過去と未来のはざまに、現在を見出して。
 世界や他人のはざまに、自分を見出して。
 意味が在ると思うのなら、
 そこに意味が生まれ息衝くんだ。
 
 客観的にはまったくもって無意味な、
 有意義で尊い人生が始まるんだ。
 極めて曖昧でおぼつかない。
 彩り溢れる灰色な僕ら。
 
 ……曖昧。
 ――曖昧。
 負けたのか。
 勝ったのか。
 僕の今の意思が、
 僕の常の行動が、
 自分のものなのか、
 レネゲイドのものなのか、
 もうわからない。
 自分だとして、かつての自分のものなのか。
 レネゲイドだとして、自分はレネゲイドではないのか。
 曖昧で。
 曖昧だけど。
 
 ああ、と、四季奏是色は想う。
 歌を口ずさみながら、濁った棺のような街で、想う。
 
 あの澄んだ空は、今度はいつ、見られるんだろう。
 
 “彩める空(monotone sky)”
 四季奏是色は、そう呼ばれていた。
 
 彼女はそれを気に入っていたし、
 あまり好きでもなかった。




GM では、経験点配布です。
仁也さんは生きてらっしゃいますか。
(PLの意識が)死んだか…
せめて安らかに
GM まぁ、仕方ない。
では、とりあえず。
お二方に、3点。
最後まで参加・会場の手配連絡・進行を助けた、分。
次に、結花さんと尚君について。
まず、侵食率経験点を配布。
100%以上は2点。尚君は3点かな。
そこから、
セッション中に、2倍振りを1回行ったごとに-1点、追加減算を行ったごとに-2点となります。
麗華 つまり…、2点?
GM そして、まー。お互い、相手が「良いロールプレイ」だったか「他のPLを助けた」か、
判断して下さい。
麗華 自分は尚くんは良いロールプレイで、他のPLを助けていたと思います
ありがとう。
今回結花はロール頑張ってたよな。仁也さんが厳しすぎたような気もするが。(苦笑
俺は適当にやるのが好きなんだ!(笑)
他のPLを助けたかってことについては、そうだなー。
剛さんと結花に敬意を表して一票(敬礼
麗華 ありがとうございます。なんか、若干違う気もしますが
GM まぁ、究極的には他人に何かを言う場合って大抵求めている反応が在るわけで、
それが空気を読むって奴なのかもしれませんね。

さて。

第四棺はここで終了とします。
次回は……。


第五棺
 「未だ終らぬ我々の埋没
   ――the Color of monochrome」



ということで、最終話、参りましょう。




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