GM |
それでは、灰色に埋もれた街 第一棺のエンディングを始めますよ〜。 |
尚 | あいあいさ。 |
GM | よろしくお願いいたします。 |
結花 | お願いします |
GM |
最初は尚君からで。 何かご要望はありますか? |
尚 |
んー。前に言ったのと同じー。 校舎の廃墟の前に立って、思い出の品かなんかを取り出すシーンがいいかな、と。 |
GM |
弔いですっけ。 余裕あるな。 |
尚 | UGNにいたら、同僚が死ぬことも珍しくなかっただろうからな。 |
GM |
いや。 ジャームがまだ周辺に居るんですが。 |
尚 | そこはそれ、「5分だけくれ」って奴だ。 |
GM |
成程。ではそのちょっと前から始めますか。 シーンスタートします。 |
GM |
とりあえず充さんの車に乗り込み。 一時校舎をあとにしました。 ごごご…………ん 振動がしばし。 充「崩れた……ようですね」 灯「……うん」 是色「にしても……、ちょっと狭いね」 きゅうくつ。 充「我慢して下さい」 苦笑して応えます。 |
尚 |
「5人は定員オーバーだな…」 「灯がチビで助かった」 |
GM |
灯「チビじゃない」 剛「……悪いが、少し車戻せるか?」 充「え?」 |
尚 | 「…早乙女さんのことが気になるかい?」 |
GM |
剛「ああ。悪いか?」 ぎろり、と睨みます。剛さん助手席。 振り返りながら。 |
尚 |
「いや。むしろうらやましいくらいさ」 助手席の後ろの席でふんぞりかえる。頭の後ろで手を組…もうとして、天井にぶつかり、車の狭さに悪態をつく。 |
GM | 剛「はあ?」 |
尚 | 「気になることがあるうちは、死ねないって気になるだろ」 |
GM |
剛「なんだテメエは。ガキのくせに偉そうによ」 チッと舌打ちして。 剛「で、戻せるのか戻せねぇのかどっちだ。断るってなら、俺はここで降りる」 充「しかし、あの倒壊でジャームが全滅したとは限りませんしね……」 充「むしろ、結構な量は生き残ってると見るべきでしょう。危険です」 剛「なおさらだ。結花が生き残ってたらどうするってんだ」 がんっ。と、ダッシュボードを叩きます。 |
尚 |
「そう言うと思ったよ。あんた相手に、リスクを持ち出して説得するのは効果が薄そうだ」 「危険とは、つまり“自分の身の安全”に関わることだ。このアニキには、もっと大事なことがあるらしい」 「つーか… ぶっちゃけ、俺らと一緒に来る気なんてハナからないだろ?」 |
GM |
剛「……そういわれりゃ、そうだな」 灯「…………兄さん私からもお願いできる……?」 充「……、灯もですか……」 ため息をついて。 充「どうしますか、新垣君?」 剛「なんでガキに意見を求めるんだよ」 充「彼がリーダーなんですよ」 剛「は? なんなんだテメエらは」 |
尚 |
「UGN。こういう状況のプロさ。…今は、頭に、“元”ってつきそうだけどな」 「やれやれ… 支部じゃ、まともに動けるのが何人残ってることやら」 |
GM |
剛「サツの友達かなんかか? 自衛隊とかよ」 剛「ま」 扉に手をかけます。 |
尚 |
「そんなもんさ。…というわけで、戻してくれ。充さん」 「途中まででいい」 |
GM |
剛「じゃ、精々頑張って――お?」 充「――はい」 ハンドルを切ります。 きゅ――きゅきゅ。 剛「なんだ? 危険だから云々じゃなかったのかよ」 灯「……」 |
尚 |
「だから途中までって言った。…それに、この街で危険じゃない場所なんて無い」 「学校周辺は、学生とその家族が集中するため、人口密度が高い。ゆえに、比較的ジャームの数も多いと予測される」 「…だが、こっちは5人しかいないからなぁ」戦力差が大きすぎるという意味でもあるし、これ以上戦力を減らしたくないという意味でもある。 |
GM | 剛「小難しいことを並べてんじゃねえ」 |
尚 | 「考えたほうが、生存率が上がるんだよ」 |
GM | 剛「ジャムだかバターだかしらねえが、何が言いたいんだテメェは」 |
尚 |
「言いたいこと? ないね。暇なのさ」 「あんたが、俺の言葉で何か変わるってのなら話は別だが、そういう風でもなさそうだしな」 茹ってしまった男たち。 |
GM |
剛「ムカツク奴だってのはよくわかった」 けっと言います。 是色「ところで、新垣君は何しに戻るの?」 と、是色が口を挟みます。 |
尚 | 「ん? ああ… ちょっと、忘れ物があってさ」 |
GM |
是色「ふうん。そんなところだと思ってたよ」 灯「……忘れ物……?」 |
尚 |
「こいつだ」胸の内ポケットから、ウサギをデフォルメした感じの、変な携帯ストラップを取り出す。 さっき、校舎の中で這いずりまわっている時に、偶然、胸の内ポケットに入っていたことに気がついた、なんてことのないアクセサリー。 俺は、携帯にストラップをつけない主義なので、たまたまこうして残った。 (そ…、忘れ物さ。あいつらのな) それは、改悟と笑窪が二人でゲーセンに行った時に当てた景品。同じのがたくさんあるとかで、俺にも一つ押し付けられた、ってわけだ。 |
GM |
充「この辺りでいかがですか? ドアは開けておきますから、急いで戻ってきて下さい」 きっ。 剛「っしゃ。助かるぜ。その気になったら勝手に行っちまってかまわねぇ」 バタン。 灯「……?」 首を傾げてから。 走っていってしまった剛さんを追いかけます。 |
尚 | 「すまない、充さん。5分で戻る」 |
GM |
灯「……うん」 たかたか。 是色「僕もついてくね」 充「……心細いんで、なるべく早めにお願いしますね」 にこっと。 いう感じで、崩壊した廃墟に視点を映します。 粉塵がまだひどいです。 逆に、めくらましにもなるようですが。 灯「まだ……そこかしこに居る」 気配がしますね。 是色「でも、崩壊の衝撃かな。すぐには動けるのは少ないみたい」 剛「結花ー! くそっ、さっきの場所は何処だ」 近くでガラガラっとしてる剛さんがいます。 灯「この辺り……」 灯がそばで、探すのを手伝ってます。 |
結花 | じゃあ、きっとなにか見つかるんだ。痕跡が |
GM | 是色がひょこひょことついてきてますね。 |
尚 |
グラウンドの端。倉庫の影になって、身を隠すにはちょうどいい位置。 「…」無言で、その場にしゃがみこむ。 ここからだと、自分達の教室の窓が見える。あの、二年E組が。 「ったく、最初にゲーセン行こうって言った俺を放置した上に、こんなもん押しつけやがって…」手のひらに載せたストラップを眺めながら、顔をしかめる。 「まあ…いいんだけどよ。言ってなかったが、本当は、俺、カラオケだけじゃなく…ゲーセンも、大嫌いだったんだ」 「…だけど。少しだけ…行ってみたら、楽しかったんじゃないか、って気もしてたんだ」 突然目の奥が熱くなって、あわてて手でまぶたを覆う。 |
GM | 是色「……泣かないの?」 顔を覗き込むようにして、是色が聞きます。 |
尚 | 「嫌なんだ…、今だけは」今まで、ジャームなら、小学生だろうとかつての仲間だろうと、ためらわず殺してきた。それが仕事だった。改悟も殺した。…泣く? いまさら何を。 |
GM |
是色「ふぅん……」 是色は顔をあげて、崩れてしまった二年E組を見るようにします。 |
尚 |
「ま、どうせ、行ったら行ったでクソつまんなかったって言ったんだろうけど……。ああ…もったいない。…くやしい。…くやしいなぁ…」 地面にあぐらをかくようにして座り込んだまま、ぼそぼそと、絞り出すような声で。 |
GM |
是色「いいクラスだったと思うよ。僕は」 そんなことを彼女はいいます。 無表情に近い、不透明な表情で。 |
尚 |
「俺、卒業アルバムって作ったことねぇんだ。あのクラスのページとか、どんな感じになるんだろうな?」はは、と、軽く引きつるように笑う。 だがもちろん、それができる日はこない。 「…誰が死んでも、地球は回る。世界は続いていく」感情の抜け落ちた顔で、ぶつぶつと、呪文のように呟く。 「第一次世界大戦中に流行したスペイン風邪…つまりインフルエンザでは、全人類の50%が感染し、死者は数%… つまり数千万人にのぼった。14世紀には、ペストの大流行で、ヨーロッパ全人口の3割が死んだ、と言われている」 「それでも、人類はもとより、ヨーロッパは滅びなかった」 「“そうであるべき”なんだ」 「だからこそ、俺たちは生まれてこられた。そして今も、生きていられてる」 何のために生まれたか、わからなくても。死んだことに、意味がなくても。 |
GM |
是色「……」 ぽん、ぽん。 と、是色が肩を柔らかく叩きます。 |
尚 |
「人間ってのは、あっけなく死ぬ。…だが、思われてるよりは、しぶといんだ。きっと」 ちらりと、手の中に納まったストラップのウサギを見て。 「俺は生きるぞ。絶対に、死んでやらねぇ…!」 突然がばっと立ち上がり、思いっきりストラップを放り投げる。校舎の方へ。 自分の教室があったあたりへ。 |
GM |
…… ちゃりっ……。 |
尚 |
一瞬、過去の学校の風貌が頭をよぎる。強い日差しと青空の下、前と変わらない校舎が、少しつっぱった感じで、でも誇らしげに、目の前にそびえているのが見える。 校舎の… 教室の窓から、改悟や笑窪、甲田先生… そして何人もの同級生が、こっちを見ている。 一人でグラウンドに立っている俺のことを、指差して笑ったり、肩をすくめてあきれたりしながら。 …けれど、何もない灰色の空へ一直線に飛んでいったアクセサリーは、割れた校舎の窓の隙間から、廃墟の中に飛び込み、消えた。 俺の耳には、ほとんど何の音も届かなかった。 それを見送って… |
GM |
とん。 肩を叩いてた手を、ゆっくり置いて。 是色が言います。 是色「……がんばろ」 |
尚 |
「ああ。…行こうや」 「幸か不幸か、俺たちはまだ生きてる」 |
GM | 是色「うん」 |
尚 |
「じゃあな」振り返って、歩き去る。ひらひらと片手を振って、背中でさよならを言いながら。 そのまま、粉塵のむこうに消える。 |
GM |
車に戻ると、灯が後ろをかけてきます。 てけてけ。 充「お帰りなさい。新垣君、灯。それと四季奏さん」 |
尚 | 「悪い、約束より3、4分遅れた」 |
GM |
是色「早乙女さん、見つかった?」 灯「……何も見当たらなかった」 気を落とした様子で、首を横に振ります。 |
尚 |
「携帯は? まだ使えないのか?」 結花や麗香、あと市外にもかけてみるけど、全部つながらないのか? |
GM |
はい。 是色「携帯電話は死んでるよ」 灯「うん」 開いて見せますが、圏外。 |
尚 | うわぁ。 |
結花 | 歯車くんが《妨害電波》を… |
GM | 充「どころか、ラジオも入りません」 |
尚 | 「…おいおい。おかしいだろ、それは」 |
GM |
カチカチと車についてるラジオをいじりますが。 ざざー。 |
尚 | 「まるで、世界中から切り離されたみたいだなぁ。え?」 |
GM |
是色「みたいじゃないよ」 灯「……どういうこと?」 是色「この街は、閉鎖されてる」 薄らと、霧のようなものが漂い始めて、遠くが見通せなくなってきてます。 充「……あれ、それより……永原さんですっけ。あの方は?」 灯「学校の前に……俺のバイクが止めてあるって」 灯「取りに……」 充「そんな、勝手な……」 ブロロロロ……と、音が聞こえます。 |
尚 | 「あいつと俺たちとじゃ、生きる目的が違う。…気づいてたか?」剛さんはそのまま戻ってこないと思っている。 |
GM | 充「さっきも言ってましたけど、それはどんな意味ですか?」 |
尚 |
「両手両足にかなりの筋肉がついていた。それに、甲田先生との戦いでの身のこなし…おそらく全身を使う格闘技をやってたはずだ」 「だが、あのサングラスは、視力が低い人間がつけるものだ。…動体視力は、格闘技には重要。病気か事故か何かで視力を失った可能性が高い」もちろん、例外もあるが。 |
結花 | そこまで見抜くとは……! |
尚 | 「つまりあいつは“生きる死人”なんだ」 |
GM |
充「……成程?」 肩をすくめるようにして。 灯「死人……」 |
尚 | 「生命は、基本的に、自分と、自分と同じ遺伝子のため、“生き続けようとする”」 |
GM | 充「しかし彼にとって、自身の生き残りは、それほど重要じゃないってことですか」 |
尚 |
「ああ。何らかの理由で、自分のために生きることをやめた人間… それがああいう類さ」 (そして、ある意味では、俺もその一人だ)と、心の中で呟く。 |
GM |
では、ぶろろろ、とそんなところで音が近づいてきます。 充「おや」 きっと。バイクが近くで止まりますね。 ヘル無し剛さん。 |
尚 | 「…だが、人間は節操がない生き物だ。あっさり主義主張を変えることもある」と、ひょうひょうとごまかす。 |
GM |
剛「倒れてやがって、ヘルメットも行方不明だが……とりあえず動くみたいだ」 剛「あ? どした?」 充「そのまま行っちゃったのかと思いましたよ」 剛「……」 きゅ、きゅ、とバイクのグリップを握るようにしてから。 剛「結花の痕跡は何も見つからなかった」 剛「ってことは、自力で抜け出したか、助けた奴がいる線もある」 灯「……」 充「……」 現実的じゃありまあせんけれどね、とは言わない。 |
尚 |
「自力で抜け出したなら、学校で出会ったはずだ。先に救出した人間がいたとすれば、艶髪先生のグループかもな」 灯から、艶髪先生と歯車たちのことは聞いていた、ってことでお願い。 |
GM | 剛「艶髪先生?」 |
尚 |
「早乙女さんの担任だ。早乙女さんが、改悟との戦闘の直前まで一緒に行動していた」 「あっちは人数も多い。移動速度もそう速くはないだろう…。向かった方角さえわかれば、見つけるのは難しくない」 「運がよければ、繰鐘も向こうにいるはずだ」 |
GM |
剛「しらねぇが……ま。そこのチビとも仲良かったみてぇだしな」 灯「だから、チビじゃないもん……」 剛「おお、悪ぃ。テメェらは何かこのふざけた状況に、詳しいらしいじゃねぇか」 剛「俺じゃ見つけられねぇだろ。学校の奴らの顔もわからねーんだから」 剛「つーことで、ついてくことにした。色々教えろよ」 そう言います。 |
尚 | 「いくらでも聞いてくれ。暇だからな。なにせこっちは、学生のくせに、授業も宿題もない。時間はたくさんある」皮肉っぽく。 |
GM |
充「ラジオも効かないんじゃ、情報も得られませんけれどね……」 かちかち。 ざーざー……。 剛「ああ……そういや……。校内に放送繋げてた女子高生がいただろ」 |
尚 | 無意識のうちに表情を暗くして「…笑窪のことか?」 |
GM |
剛「……死んじまったが」 剛さんも少し顔を曇らせますが。 剛「あいつの話によると、政府が正式にこの街の閉鎖を決定したらしいとか、言ってたぜ」 剛「合流した時にな」 |
尚 | 「………」手を組み合わせたまま、黙ってそれを聞いている。 |
GM |
剛「それから少しして、携帯が繋がらねぇとかになってよ」 剛「どういう手を使ったんだかわかんねーけどな。んで、校内放送がつなげられそうだとか言い始めて」 剛「その後、あの先公に遭遇した」 剛「……って感じだ」 |
尚 |
「………」 どこか遠くを見つめるような、ぼんやりとした目で、そう言う。 「そう、か…。教えてくれてありがとう」 |
GM |
充「……つまり、一時的なものではないと思った方がよさそうですね」 ラジオをいじるのを諦めます。 |
尚 |
(これだけ大きく、周辺市街との境目もあいまいで、かつ、ジャームとオーヴァードだけで占められた都市を封鎖?) (UGNだけでは、戦力が足りているとは思えない… 防衛軍が出たか?) (となると、行われたのは、封鎖というより…制圧、だろうな。今からだと、近づいただけで殺されかねない) |
GM |
是色「……そろそろ移動した方がいいんじゃない?」 尚君の思考を遮るように、是色が言います。 充「そうですね……こんな路地で囲まれてもなんですし」 剛「おう」 |
尚 | 「ああ。…長期戦になりそうだ。色々と必要なものがある…。まずは早乙女さんと繰鐘を探して、その後、UGN支部に向かおう」 |
GM |
灯「……」 こくっと頷きます。 充「出しますよ」 |
尚 | 「頼む」 |
GM |
と、車が動き始めたところで。 シーンカットです。 |