File.00 『マヨヒガ』
GM : では、続いて鶴辺千里さんのオープニングです。
千里 : はい。
▽ 序幕 Side Sennri
▽ハンドアウト−鶴辺 千里− 12月21日、朝。 萌花ちゃんが板のような涙を流しながらウクレレを弾いている。 どうやらクリスマスの約束は取り付けられなかったみたい。 町を見てみれば何処もクリスマス・イルミネーションで賑わっている。 アンデキンバーもクリスマス仕様に彩らないと。 マスターから資金を貰って、装飾品を買いに行こう。 GM : という感じ。
千里 : 成る程ね。
瑞樹 : すごく平和そう。
GM : という訳で、朝のアンデキンバーから始まります。 千里さんが出勤してくると、 既にウェイトレスの格好をした萌花ちゃんが滝のような涙を流しながら、 ポロン、バラン、とウクレレを弾いています。
千里 : 「(板のような涙って何かしら)」
GM : いわゆる、だー、という擬音の似合うギャグマンがでありがちの涙ですね。
千里 : いえ、わかるけれど。 「おはよう御座いまーす」
GM : マスター「……」(こくり) 千代子「おはようございます、千里さん」 萌花「だぅー……おはようございますぅ、先輩ぃ……」 ポロン、バラン。
千里 : 「はい。おはよう。萌花ちゃんは何だかご傷心のようね」 すっす、と荷物を置きつつ。
GM : 萌花「解っていただけますか!? この胸の張り裂けんばかりの悲しみを!!」 じゃかじゃん!
千里 : 「うんうん」 よしよし、と撫でておくわ。 「クリスマスの約束が上手く取れなかったのね。 でも、イベントに躍らせすぎるのもあれよ。むしろほら。 そもそもの記念日以外の日を特別な日にしちゃえば、嬉しい日が増えて良いじゃない」
GM : 萌花「シクシクシク……いっそ踊らされていたかったですよぉ……」 まぁ、えぐえぐと口では言いながらも、流石に其処まで深刻なダメージではないようです。
千里 : 「まだまだチャンスはきっと在るって。元気出して」
GM : 萌花「チャンス……そうですよね、まだチャンスはありますよね!」
千里 : 「アンデキンバーに萌花ちゃんの笑顔は、もはや不可欠よ。うんうん。 泣いてばかりじゃ可愛くないわ」
GM : 萌花「よっしゃあ! 頑張ります!」
千里 : といって、しゅるっとハンカチを出して渡すわ。
GM : 萌花「はえ?」
千里 : 「涙拭きなさい」 微笑んで。 「あと、ウクレレ上手ね」
GM : 萌花「あはは、はは……化粧直し行ってきまーす!」
千里 : 「はーい」
GM : 照れたように顔を赤くして、萌花はバックヤードに戻っていきます。 千代子「ごめんなさい、千里さん。あの子の面倒までみせてしまって」 萌花が奥へ入ると、困ったような笑みを浮かべながら千代子さんが言います。
千里 : 「いえ。私は可愛い子は好きです。構いません」 そういって、左人差し指で軽く唇に触れるわ。 軽くポーズを作るように。
GM : 千代子「あの子も、なんだかお姉さんが出来たみたいに甘えてるみたいで……」 やれやれ、という様子を見せながらも顔は微笑んでいます。 千代子「それで、申し訳ないのですけれど、ちょっとお願いをしてもいいでしょうか?」
千里 : 「なんです? 聞ける範囲なら請け負います」
GM : 千代子さんは封筒をスッと差し出し、 千代子「午前中はあまりお客さんも入らないし、 あの子を連れて買出しに行っていただけないでしょうか? 例のクリスマスフェアの飾りも買わなければいけないし、気晴らしになるかと思って」 どうでしょう、と小首をかしげます。
千里 : 「買出し……。成る程。構いませんよ。 私は色の区別が効かないので、萌花ちゃんは必須ですね」 くす。と笑うわ。
GM : 千代子「お願いしますね。 あの子は、口で言うほど気にしてはいませんけれど、それでもショックのようだから」 にこやかに、微笑み返します。
千里 : 「はい」 色盲って案外困りそうね。
GM : 日常生活は結構大変でしょうね。
千里 : 日常生活自体はそうでもないと思うけど。 局面局面でね。
GM : 赤い線と青い線、どっちを切るか、とか。
千里 : 知力16在るから、データ上感度は良さそうだけど。 直感あるしね。
GM : 萌花「うぃーっす、戻りましたー! って、あれ? 鶴辺先輩も母さんも、なにをニコニコしてるんです?」
千里 : 「買い物を頼まれたところよ。萌花ちゃん、出られる?」
GM : 萌花「うぇあっ!? は、はい、了解しましたであります!」 しゃき、っと敬礼をばします。
千里 : 「外は中々冷えるわよ。朝だし……」 と、脱ぎかけてたコートのボタンをとめなおすわ。
GM : 萌花「ああー、じゃあ私もコートを持ってきます。上から羽織れば、制服でもいいですよね」
千里 : 「構わないわ」
GM : パタパタと、再び奥へ戻っていきます。 その様子を、マスターと千代子さんは微笑ましそうに眺めていました。
GM : さて、では場面を少し飛ばします。
千里 : 至極了解よ。
GM : お買い物といえば、ここ! 暦市最大の規模を誇る大規模ショッピングモール! 現在、クリスマスセール実施中。
千里 : 混んでそうね。
GM : そうですね、今は平日で朝なので其処までではありませんが、 それでもそれなりに客が入っています。
千里 : 成る程よ。
GM : 萌花「はぁ、広いですねぇ。どこから行きましょうか?」
千里 : 何頼まれたのかしら。 「うーんと」
GM : 基本的には、装飾用の布やらとパーティグッズの一種ですね。 後はお好みで小型ツリーの置物とか。
千里 : ふぅん。
GM : 萌花「布は1階の入り口傍で買えますし、パーティグッズは2階の南棟ですねぇ」
千里 : 「アンデキンバー、どんな風に飾ったら綺麗かしらね」
GM : 萌花「あんまり派手にするより、さり気なくクリスマス仕様にするとかどうですかね?」
千里 : 「そうね。てらてらしたのはあのお店合わないしね」
GM : 予定としては、クリスマス柄の布とかを窓枠とかにさり気なく飾ったり、 クリスマスシールみたいな物を飾る感じです。 萌花「まぁ、とりあえず物を見て考えてみまっしょい」
千里 : 「うろうろしましょうか」
GM : はい、ではそんな感じの予定を立てて、うろうろと売り場を見ていきます。 そんな時のこと。
千里 : ええ。
GM : ふと、それらしき布をレジで清算していると……一緒にいた筈の萌花の姿が見えません。
千里 : 「……あら? 萌花ちゃん……」
GM : はぐれた、というかいつの間にか何処かに行ってしまったようです。
千里 : ぐるりと見てみるけど。
GM : ぱっ、と見た感じでは見当たりません。 店員「ありがとうございましたー」 布を包んだ紙袋を渡してくれます。
千里 : 「ありがと」 片手で受け取るわ。 「何処行ったのかしら、ね」 軽く考えるように、唇に触れてから 携帯電話を取り出して、萌花ちゃんに電話するわ。
GM : とぅるるるるるる、とぅるるるるるる。 しばらく鳴り続けますが、出る様子がありません。
千里 : 「……困ったわね。とりあえず…… ……うん」 装飾品を、色がわからないので次善あたりで適当にチョイスして、アンデキンバーに戻るわ。
GM : はい。
千里 : 買い終わったところで、戻る前に電話をもう一度かけるけど。 やっぱり出ないわよね。
GM : その電話は繋がりません。 そのまま帰る、で構いませんか?
千里 : 構わないわ。
GM : では、その帰り道のことです。
千里 : 「(迷わせてしまった――と言うわけではないでしょうし。普通にどこか出かけた?)」
GM : モールからアンデキンバーまでの通り道。
千里 : 「(携帯は電源を切って……いたら、そう言うから、落とし、た?)」
GM : 人波の流れに沿って、行き来する人々の中。
千里 : 「(落とした、のなら誰かが拾ってくれそうだけど……。単純に気づいてないだけ、かしらね)」
GM : ふと、物凄い"迷い"を内に抱いた人影が、視界に入ります。
千里 : 「(――ぇ?)」
GM : 三次元迷路、その規模からすれば周囲を巻き込みかねないほどの大きな迷い。
千里 : 渦巻いて見える、縮巻いて見える。
GM : ふらふらと、頼りなく歩くその姿。
千里 : 一目で、私が、看破できないほどに複雑にして巨大なラビリンス。 「(周囲ごと捩れて……)」 はた、と立ち止まって。 ふっと、無意識の内に唇に触れて。
GM : 一歩一歩、その歩みが既に迷いを表しているかのように頼りなく――それでも。 なぜか、行く先に人はなく、そのまま角を曲がり人ごみに飲まれて行きます。
千里 : その人影を視界から外さないままに、アンデキンバーに連絡するわ。 追いかけましょう。
GM : とぅるるる、がちゃ。 千代子『はい、喫茶アンデキンバーでございます』
千里 : 「鶴辺です。萌花ちゃん帰ってますか?」
GM : 千代子『あら、千里さん。萌花なら、まだ戻ってきていませんよ?』 一緒じゃないの、と不思議そうに尋ねられます。
千里 : 「そうですか……。すみません、大変申し訳御座いませんが、私ちょっと急用が出来まして。 先に萌花ちゃんに帰っていてもらったんですよ」
GM : 人影は、左右にふらふらと揺れながら、路地の奥へ奥へと進んで行きます。
千里 : 「まだついてないみたいですね」
GM : 千代子『そうだったの。あの子ったら、寄り道しているみたいですね』 奥へ、また奥へ。
千里 : 「成る程。私の方は、まだ暫くかかりそうです。すみません。それでは」
GM : そして、また一つ角を路地の曲がりました。
千里 : っぴ。 携帯を切るわ。 既に人影はまばらそうね。
GM : まばらというより、平日の午前様ですから、 元々人通りが少ない路地裏なんて全く人が居なくなっています。
千里 : やっぱりね。 なるべくなら気付かれたくはないんだけれど。
GM : その人影は、また路地の奥へと角を曲がり、視界から隠れてしまいます。 ――と。
千里 : 「(何処に向かってるのやら……)」 む。
GM : その時、路地の奥から、 ガゴンッ! という鈍い音が響きました。
千里 : 「……」
GM : 何か、金属製の硬いもので、何かを叩いたような、そんな音。
千里 : そっと覗くけれど。
GM : 人が倒れています。 そして、その横に人が立っています。
千里 : 「(何やら面倒臭そう、ね……)」 少し様子を伺うわ。
GM : その人影は、青い、青いレインコートを着て、 フードを深く被って人相が解らないようにしています。
千里 : 青ね。
GM : 背丈は中肉中背、といってもレインコートが大きめの全身を覆うタイプのものなので、 男なのか女なのかも解りません。
千里 : さっきの渦巻いてた人の方が倒れてるのかしら?
GM : そうですね、先ほどの迷っていた人影が、今は地面に伏せっています。 意識がないからか、現在はさきほどまでのような狂おしい迷いはなりを潜めています。
千里 : 「…………」
GM : 影から様子を伺っていると、レインコートはしばらく人影の様子を伺った後、 一つ頷いて、きびすを返します。 ごっ……ごっ……と、重そうなブーツの足音が遠ざかって行きます。
千里 : しかし、私青いってわからないんじゃないかしら。
GM : …………そういやそうですね。
千里 : 青って言われたら、そうかもしれない程度にわかるかもしれないけど。
GM : 訂正、単色で全身を統一したレインコートの人影、という感じで。
明良 : 濃い色だな。 灰色か赤かもしれんが。
千里 : 了解よ。
GM : というわけで、見ているだけならレインコートはそのまま立ち去ってしまいます。
千里 : 追いかける理由も無いし。
GM : 後に残されるのは、倒れる人影。
千里 : 近寄って様子を見るわ。 脈とか確認。
GM : はい。
千里 : 何なら診断とか使うわよ。
GM : 近寄ってみると、その人影はどうやら高校生くらいの少女のようです。
千里 : ふぅん。
GM : 制服を着ているので解りますが、霞染の女生徒ですね。
千里 : 「(迷いが酷くてさっきは気付かなかったけど……浅賀って子の高校じゃない)」
GM : では、せっかくですから診断してみてください。
千里 : (ころころ……) 14-3D6 = 14-[1,1,6] = 6 難ないわ。
GM : はい、では頭部に強い打撃、ぶっちゃけると鉄パイプで殴られた痕があります。 脈や呼吸から命に別状はないようですが、一応病院に連れて行って検査したほうがいいでしょう。
千里 : なるほどね。 応急処置は必要そう? 必要ならするけれど。 まぁ、頭部殴られただけなら、動かさないようにするのが最善でしょうけれどね。
GM : そこまで重症って感じはしませんね。 逆に言うと、処置が必要な場合は脳なので、早く病院できちんと検査したほうがいいくらいです。
千里 : でしょうね。 ま、119をかけるわ。
GM : ぴぽぱ。
千里 : 場所はわかってるでしょうし、まさかそこまで繋がらないなんてことはないでしょう。
GM : まぁ、普通に繋がりますし、受け答えもあります。 すぐに救急車が来てくれるそうです。
千里 : では普通に場所と容態を伝えて、待機。 「(それにしても、レインコート、ねぇ……)」
GM : 待機していると、しばらくして救急車がやってきます。
千里 : おっと。 この子の身元がわかりそうなものがあったら調べておくわ。 霞染の生徒以外に、何かわかりそうなものある?
GM : そうですね、生徒手帳を持っていました。
千里 : しめしめね。 盗んだりはしないけれど。
GM : しめしめて(笑)
千里 : 「(名前確認……と)」
GM : 建巳 郁子(たつみ いくこ)、霞染高校1−Aの生徒です。
千里 : 「(霞染高校1年A組、建巳郁子)」 携帯に一応メモメモ。 写真が在ると思うけれど、この子で間違い無さそうよね?
GM : ええ、顔写真の少女と同一人物だと思います。 と、救急車が着てくれた辺りで、シーンを切りますが。 何かやっておきたい事はありますか?
千里 : 軽く手帳をチェックしてみるけれど、目に付くことは無い?
GM : んー……手帳に記帳するようなタイプではないようで、特に此れといって。 あ、一つだけ。
千里 : うん?
GM : プリクラが幾つか貼ってあるのですが、少し変です。
千里 : 変? 一人で写ってたりするわけ?
GM : なんというか、一人で写っているのや、誰も写っていないプリクラが貼ってあります。 はい。 そんな感じですね。
千里 : 「(一人……にしては真ん中で写ってないし。無人のは論外に異常ね)」 生徒手帳を返しておくわ。
GM : 明らかに不自然、けれどそれだけではよく解らない。
千里 : 「(……記憶遮断……? それとも人が消えている……?)」
GM : そうしている間に、路地の奥まで救急車が入ってきました。
千里 : 「(人が――)」
GM : という辺りで、シーンをカット。
千里 : ん。 ま、いいわ。
GM : 千里さんは、救急車についていきますか? 警察に事情とかを聞かれるでしょうから、どちらにせよ少し拘束されますが。
千里 : 一応ね。 ここですたすた去るわけにも行かないでしょうよ。 逃げたら帰って不自然だわ。 って言うか、いざとなったら私逃げられるしね。(笑)>アラインメイズ
GM : なんてことだ(笑)
千里 : 困惑に、監禁に、蜃気楼に、人払い。(笑) 情報撹乱まで持ってるわ。 完璧。 しかも範囲が1.5km
瑞樹 : アラインメイズ便利!
GM : 逃亡者には便利ですけどね(笑)