File.00 『マヨヒガ』
GM : というわけで、お次は明良君です。
明良 : おーう。
▽ 序幕 Side Akira
▽ハンドアウト−佐奈川 明良− 12月21日、早朝。 漆黒の馬鹿こと駄天使から連絡があった。 凶者どもの狂宴がどうとか言っていたがスルー、つまり事が始まるらしい。 舞台は暦市全域、目標は霞染の生徒だって話だが……範囲が広すぎだろ。 さしあたり、ニュースになるような大事件はまだ発生していないが、 "世界の危機"になりうる存在っていうから、これからどうなることやら。 とりあえず、学校で何か異常が無いか、そこから調べてみるか。 GM : ということです。
明良 : 曖昧な任務だな。
GM : というわけで、佐奈川明良君のオープニング。 今日の日付は12月21日。 布団から出るのが厳しい、冬の早朝の事です。
明良 : ああさぶ。
GM : 時刻は4時44分44秒。 唐突に、仕事用の携帯が着信メロディを奏で始めます。 《堕天使〜♪ 俺は罪に溺れた〜♪ 悲しきルシファー♪ OH YEAH!》 作詞・作曲:漆黒の堕天使「ダーク☆エンジェル」 明良 : 「こんな設定してねえよ!」 取る。
GM : 堕天使『俺の名前は漆黒の堕天使……人は俺をルシファー・オブ・ダークネスと呼ぶ……』
明良 : 「何の用だくたばれ」
GM : 堕天使『時は来た……今こそ凶者どもの曇った眼を開く時……狂宴の始まりだ…… 解りやすく言うと、ついに目標が活動を開始したらしい……』
明良 : 「わかりやすくていいな」
GM : 堕天使『既に俺の使い魔達が情報収集を始めている……ふっ、血に飢えた下僕たちだ……』
明良 : 「で、何か兆候があったのか?」
GM : 堕天使『委員会、【預言者】からの追加の情報だ…… 目標はお前と同じ空を見、同じ時を刻んでいる…… つまり霞染高校の生徒で、活動範囲は暦市だということだ……』
明良 : 「わかりやすくありがとよ」
GM : 堕天使『他に何も言われていない……神は死んだ…… とにかく情報が足りない……同窓だというのならそれを利用するのみ……』
明良 : 「ちょっと待て、同じ学校の生徒?」
GM : 堕天使『そういうことだ……お前は学校に行き、普段とは違う異常が無いかを確認せよ……』
明良 : 「あー……わかった。なら任務にかかるぜ」 きるか。
GM : 堕天使『悪意が空を覆いつくすようだ……審判の日は近い……』 ぷっ……つーつー。
明良 : さすがに早いな…そこまでわかってると取り込むのは無理、か。 かくなるうえは手柄にする方向で行くか。
GM : 現状、委員会がどの程度の情報を有しているのかは解りません。 件の【預言者】が情報を小出しにして、かつそれが堕天使まで回ってくるのが遅いので。
明良 : にしたって、超常識的なことをやってるのはわかる。 「ちっ……仕事仕事、だな」
GM : 窓を見れば、抜けるような晴天……って、12月だから5時ごろは真っ暗ですね。
明良 : はええよ(笑)
GM : ちなみに、堕天使は4ゾロがしたかったのでこの時間に連絡しました。
瑞樹 : 堕天使め!(笑)
明良 : 2時間寝なおすぞ。
千里 : 2時間寝なおすつもりが2年間寝なおしてしまった。
GM : 事件はとっくに終わっていたんですねわかります。
明良 : ふざくんな(笑)
GM : はい、では時間を飛ばして7時過ぎ。 というか、一気に校門まで飛んでしまいましょう、道中なにかありますか?
明良 : コンビニによって飯を調達。
GM : さしあたり、何事も無く食事を購入できました。 校門前に仲春先生が立っていますね。 桂一「おー、佐奈川じゃないか……って、今日は早いな」
明良 : 「ああ、おはよセンセ。まあたまにはな」
GM : 校門前で遅刻者がいないかチェックをしているようです。 といっても、今の時間は普通に登校する生徒もいますが。
明良 : 「最近なんかあったか?」
GM : 桂一「い、いきなり何だ?」 ビックリした表情で見返します。
明良 : 「ん? いや別に。世間話だよ。狼男に遭遇したとかな」
GM : というか、普段は雑談しようとしてもサッサと行ってしまう明良君が、 今日に限って世間話をしようとしている事に驚いているようです。
明良 : まあな(笑)
GM : 桂一「なんだよ狼男って……あ、あー、変な不審者が出るって話は聞いたかな?」
明良 : 「ふーん」
GM : 桂一「確か、漆黒の堕天使とかどうとか……」
明良 : 「じゃな」
瑞樹 : 学校内のこと聞くんじゃないの?(笑)
明良 : いや、何も知らんと分かった(笑)
GM : 桂一「あ、おーい……まぁ、いいか」 先生はそのまま校門でチェックに戻ります。
瑞樹 : ほれ(笑)
明良 : ちっ! かといって戻るのもなんだしな。
瑞樹 : 他に友達とかいるなら、そっちから聞いてみたら?
明良 : じゃ、教室行くか。
GM : はい、教室へたどり着きました。
明良 : 友達か…瑞樹に話してでも聞いてみるか。 来てるか?
GM : 教室に行ってみると、やや空席が目立ちます。 瑞樹さんも来ていないようです。
明良 : まあ来てる方が怖いな…(笑)
瑞樹 : 前のシーン見てりゃ、ね(笑)
千里 : 瑞樹:「ちゃお、わたしみずき!」
瑞樹 : 誰!?(笑)
明良 : えーと、瑞樹の友達……例のメガね、もいないんだな?
GM : 柚穂ですね、彼女も来ていません。 というか、1年近く同じクラスで「例のメガネ」呼ばわり(笑)
明良 : いいじゃねえか(笑)
瑞樹 : もっとフレンドリーに!
GM : 「よう、佐奈川」 「おはよう、明良君」 今居るクラスメイトが普通に挨拶してきます。
明良 : 「……ん」
GM : 言葉少なな明良君の様子をいつものことと思っているのか、 特に問題なく彼らは雑談に戻りますね。
明良 : 「……」
GM : がやがや、ざわざわ。
明良 : まだ空席は目立つか?
GM : そうですね、そろそろ先生がHRにきそうな時間になっても、大体8名くらいが空席です。
瑞樹 : 雑談に耳をそばだててみるしかない!
明良 : そうだな!
GM : 生徒A「そういえば知ってる? 最近、街で漆黒の堕天使っていう変態が出るんだって」 生徒B「えー、私が聞いたのは青いレインコートの怪人だったわよ?」
明良 : レインコート?
GM : 生徒C「あ、私が聞いたのは、街中で人がフッ、と消えちゃう魔の路地裏があるって話かな」
明良 : 魔の路地裏……
GM : そうこう話を聞いていると、先生が入ってきます。 担任「ほら、席に着け。ホームルームを始めるぞ」
明良 : ん、もう授業か。
GM : 担任「では、出席を取る……えー、相沢……伊藤……遠藤……」 途中、明良君の名前も呼ばれます。
明良 : 「おーう」
GM : 担任「……っと、以上。欠席は無しだな」 パタン、と出欠簿を閉じます。
明良 : 「は?」 欠席なしか?
GM : 担任「じゃあ、一時限目の準備をして、あまり騒ぐなよ」 先生はそのまま教室から出て行ってしまいます。
瑞樹 : 浅賀吹っ飛んでるしね。
千里 : そもそも違和感すら抱かれてないのね。
GM : ざわざわ、がやがや。
明良 : 席は幾つあいてるんだ?
GM : 8席です。 そして、その事について、誰も疑問に思っていない様子です。
明良 : 瑞樹は?
GM : 席はありますし……教科書とか置きっぱならそれも入っている感じですが、誰も来てません。
明良 : 「あー……なあ」 隣の席の奴に。
GM : 生徒D「ん、なに?」
明良 : 「今日瑞樹……浅賀は?」
GM : 生徒D「は、へ?」 モブ生徒が、普段話しかけない人物に話しかけられて目を白黒させています。
明良 : 「ほれ、あの席の」
GM : 生徒D「えーっと………あ、あぁ、浅賀か」 得心したように、生徒Dは頷きます――が。 生徒D「――――誰だっけ?」
明良 : 「誰って、浅賀瑞樹だよ」
GM : 生徒D「あさが、みず、き……そんな奴、クラスにいたっけ?」 首をひねっています。
明良 : 「……」
GM : 生徒D「なぁ、もう行っていい?」
明良 : 「ん、ああ。ありがとな」
GM : 怪訝な顔をしながらもその生徒は、他の生徒と談笑しに行ってしまいます。 と、明良君が呆然としている間に、一時限目の先生が入ってきて、 何事もなかったかのように授業が始まります。
明良 : 「……」 とりあえず休み時間まで待つか。
GM : 授業は普通に始まり、普通に終わって休み時間になります。 このまま何も行動をしない場合、普通に放課後になりますが、何かします?
明良 : いや、二時間目はさぼる。
GM : はい。
明良 : で、クラスを回って休んでる人間がどれだけいるか見て回ろう。
GM : ほほう。
明良 : 特に休んでる人数の多いクラスがあれば御の字だな。 そこが中心ってことになる。
GM : そうですね……ざっと見た感じですが。 なんと、1年A組が一番空席の人数が多いです! というか、他のクラスは空いていても1、2席くらい。
明良 : おう。 何人だ?
GM : YOUのクラスさ!
明良 : うおい。
GM : さて、そうしてクラスを覗いていると、ですね。 桂一「佐奈川じゃないか、何してるんだ? 誰か探しているのか?」 廊下で、先生に声をかけられます。
明良 : う。授業中か?
GM : ……そういえばそうですね。 桂一「……授業中になにやってるんだ」
明良 : 「さぼりです」
瑞樹 : 桂一先生は1年A組の副担任。 副担任だから、割合フットワーク軽いのかもね。
GM : 桂一「いや、そんな堂々と言われても……俺、一応お前のクラスの副担任なんだけど」 がっくりと、肩を落とします。
明良 : 「ああ、すみませんね。えーと……ところで最近欠席多くないですか、おれのクラス」
GM : 桂一「ん、そうなのか? 実は朝以降ずっと資料室の整理してたんで、まだ出欠簿見てないんだけど」
明良 : やっぱり気付いてなさそうだな。
GM : 桂一「そういえば、嘉月が休みだったな」
瑞樹 : なん・・・だと・・・?
明良 : 「誰すか、それ」
瑞樹 : めがねだ!
明良 : おお、奴か?(笑)
GM : 桂一「お前ね……クラスメイトの名前くらい覚えておきなさいよ」
瑞樹 : お前が侵食されてどうするんだ!
GM : まったくだ(笑)
明良 : くっ、敵の能力が俺にまで…!
GM : 漆黒の堕天使みたいな台詞だ(笑)
明良 : 漆黒の堕天使ごっこはさておこう。
GM : 桂一「ほれ、髪の長い……クラスのお姉さんみたいな」
明良 : 「ああー、メガネか?」
GM : 桂一「め、めが……あんまり、本人に言ってやるなよ? コンタクトが怖いから、メガネしか無理だって言ってたから」 はぁ、とため息を吐きます。
瑞樹 : 柚穂かわいいなー(笑)
明良 : ん? てことはメガネは能力で消えたんじゃなくてただの欠席か?
瑞樹 : 待て待て。 先生は、欠席なしって言ってたろ。
GM : 出欠席の際、居なくても誰も気にしていませんでした。
明良 : なるほど。 てことは、この先生だけが影響を受けてねえ、のか? 「センセー、それってなんでわかったんすか?」 こいつが敵かー!
瑞樹 : 今ッ!
GM : 桂一「なんだそりゃ?」 なにいってんだこいつ、みたいな目で明良君を見ています。
明良 : 「いや、出欠見てないっていうから。直接連絡でもあったのかと」
GM : 桂一「あー、そういうことか。ほれ、俺はいつも校門に立ってるだろう?」
明良 : 「うい」
GM : 桂一「嘉月は、いつも丁寧に挨拶してくれるから印象に残りやすいんだ」
明良 : 「ふうん。浅賀にはあったっすか?」
GM : 桂一「浅賀か? …………そういえば、浅賀も来てない、か? いつも遅刻ギリギリ走ってる感じだったけど」 首をかしげながら、思い出そうとしています。
明良 : 「それじゃ俺はこれで」
GM : 桂一「ん、ああ。それじゃあ……って待て、授業に出なさい!」
明良 : 「次の時間から出ますよー」 ひらひら。
GM : 桂一「はぁ……あんまり、教科の先生に迷惑かけないようになー」 ぼやきながらも、明良君を見送ります。
明良 : 屋上にでも行って考えをまとめるか。
GM : では、屋上です。
明良 : 「さむっ!」
GM : 冷たい風が吹きすさぶ、いわゆる寒々しい冬の空です。
明良 : 何か加熱すればいいんだが薬使うの持ったいねえ…… まあいい。これなら人も来ないだろ。
GM : というか、そんな事の為に数限りある薬を使う強化人間なんていませんよ(笑)
明良 : まあな。 さて、と。
GM : はい。
明良 : まず敵のリンクス。これをリンクス1と呼ぶか。
GM : リンクス1確認。
明良 : リンクス1の目的は不明。
GM : そうですね。
明良 : リンクス1の能力は、人間の認識に残らず人間を消す。
GM : 物などの痕跡は残っているようですが、意識に上らないようです。
明良 : リンクス1は1−Aにいる可能性が高い。
GM : 正確には1−Aの生徒がリンクス1の影響を一番受けている、と仮定したわけですね。
明良 : ああ。まあそこが中心点ってことだな。
GM : はい。
明良 : さて、ここまではわかるがここから面倒だな。 とりあえず、中心点が一か所あるなら、もう一個中心点を見つければ個人を特定できるはずだ。
GM : 点と点を結んで線にするんですね。
明良 : つまり行方不明が頻出してる付近に住んでるだろうってことだが。 が、認識に残らねえってことは刑事事件にもならねえ。 となると俄然探すのは難しくなるな。
GM : まぁ、そうでしょうね。
明良 : 組織のリンクスみたいに、能力があれば別なんだろうが。
GM : 明良君の能力は補助には向いていますが探索向きではありません。
明良 : が、これは意外と穴があるかもしれねえ。
GM : ほう?
明良 : あの先生は実際、メガネの不在を認識してたわけだからな。
GM : メガネて(笑)
明良 : 調べ方によっては穴を探せるのかもしれねえが、能力の適応条件を調べないとな。 もう一つは、ローラー作戦か。
GM : しらみつぶしですか。
明良 : クラスが40人だとして、ついでに担任も入れて41人。 が、手間がかかるし遠慮したいところだな。
瑞樹 : 校舎内のみ効果を発揮するとか。
明良 : ん?
瑞樹 : 桂一先生は校門で遅刻者を確認してるってことは、認識は外で起こってるじゃん。
明良 : いや、それだと家の方から警察に届け出が行くだろ?
瑞樹 : あー。 やっぱ桂一先生が怪しい?
明良 : ま、それはありだな。瑞樹の家に電話してみるか。
瑞樹 : そうしてそうして。
明良 : いや、それ以前に瑞樹に電話してみる。 ぴぽぱ。
GM : とぅるるるるる、とぅるるるるるる。
明良 : 出ろ!
瑞樹 : 出る!
明良 : 出れるのか?
瑞樹 : どうなんだろう。 『おかけになった番号は、現在電源が切られているか、電波の届かない場所に……』 瑞樹 : だって。
明良 : ちっ。 じゃあ瑞樹んちだな。 ぴぽぱ。
GM : とぅるるるるる、とぅるるるるるる。 ガチャ。 母『もしもし、浅賀でございます』
明良 : 「もしもし。瑞樹いますか? あ、佐奈川です」
GM : 母『あら! もしかして明良ちゃん! お久しぶりねえ!』
瑞樹 : 電話しそうにないもんね。家に。
明良 : 「お久しぶりです、おばさん。どうも」
GM : 母『それで、えーと…………………… ――誰に、お電話だったかしら?』
明良 : 「あ、いや。なんでもないです。 また今度お邪魔させてもらいますね。それじゃ」
GM : 母『あら、そう? 明良ちゃんまた家に着てね、きっと喜ぶわ』
明良 : 「はい」
GM : ほほほと笑って、浅賀母は電話を切ります。
瑞樹 : 誰が喜ぶんだ?
GM : 誰でしょう?
明良 : 「誰が、だよ…」
GM : ひゅぅ、と冷たい風が屋上を吹き返します。
明良 : 確認。リンクス1の能力は最低、街一つに及んでると。 それじゃそろそろ授業に戻るか。
GM : はい、では特に進展はありませんでしたが、一端シーンを切りたいと思います。
明良 : 「うーさび……あとはまあ、この目で探すしかねえか」
GM : そのまま見捨てる、という選択肢はないんですね。
明良 : おう。 二重の意味でねえよ(笑)
GM : はい、ではとりあえず明良君のオープニングは終了です。