・ 泡吹き等の命ほらふきなどのいのいち

    第一幕◆子守唄のように。        

    第二幕◆溶け行き一つへ。   

    第三幕◆揺らがぬ鼓動と。

    第四幕◆螺旋なりし偶像。



     第一幕◆子守唄のように。 4


「と言うわけで閾君。昨日は、深夜に高校生的懊悩に煩悶する君の、救助要請メールを受けた親友たる僕が、友情ゆえにいても立ってもいられなくなって、急遽会いに行って人生相談の相手をしてきた――ことにしておいたから、口裏合わせよろしくね」
「はぁ?」
 閾は箒を動かす手を止めて、こっちを見た。
「人を勝手に言い訳に使ってるんじゃねーよ。一体いつ俺がお前に相談したんだ、謡依君。迷惑だからやめてくれないか」
「冷たいなぁ。昨日はせっかくついて行ってあげたってのにさ」
「お目付け役だか何だかしらねーけど、お前の方からついて来ただけだろ。あいつの家があんな様子だったんだし、俺一人でも十分だったんだぜ」
「いやいや、実は怖がりな閾のことだ。案外一人だったら任務を完遂出来てなかったんじゃないかな。足とかすくんじゃってさ」
「俺に許可なくふざけた設定を増やすんじゃねぇっての。大体――」
「ほら、そこー。続末ー! ちゃっちゃと掃除終わらせろよー」
 遮るように、並尼さんから声がかかる。
「違……、謡依が俺の邪魔をして」
「言い訳乙! 終らせないと動けないじゃん」
「ちっ……。だったら晦日、チリトリよこせよ」
「ほらよー」
 午前しかない土曜日の授業が終了し、掃除が行われている僕等の教室だった。
 閾も並尼さんも今日の当番。普段さぼりがちの並尼さんも、今日はこの後古里井さん捜索活動を控えているためか、積極的に掃除に参加していた。
 ま、たまにやると掃除も結構楽しいからね。
 土曜日は、多くの部活の活動日だ。つまり、放課後とは言え残っている生徒も多く、教室で話し合いをするのは躊躇われる。また、例にもれずコンピューター部の活動日でもあるので、掌君はこの後話し合いに出ることはできない。
 僕のパズル同好会のように休めば良い、と言うわけにもいかない。
「そ、それじゃ……ぼくは行ってくるね。続末、時鏡、な、並尼さん……と、千々泡さん」
 荷物をまとめ、掌君が言った。
 そう。掌君は掌君で、古里井さんの消失に関連が在りそうな情報を集め、纏めるという作業が在るのだ。
「有益なる情報の更新を期待して待機する」
「おう。健闘を祈るぜ。……掃除も、終りでいいな」
「ゴミ捨て4649」
「てめーが行けよ、と言いたいところだが、重そうだし請け負ってやる」
「39〜」
 さてと、閾がゴミ捨てから返ってきて、メンバーが揃ったところで――いつの間にか数えてみれば五人もの人数が一つの目的を持っていることになる。立派な部活動レベルだ――行動を開始する。
 今日の主な内容は、聞き込み。
 旧古里井宅周辺のご近所さんに対して、僕等が彼女の友人として聞き込みを行う、と言うこと。つまり、このまま一同、旧古里井宅の最寄り駅へ向かうこととなる。
 ファストフード店で軽く腹ごしらえ。
「消費者と提供者の効率追求の末導き出された、一つの食料品店としての在り方――それはすなわち要求を受けてから提供に至るまでの手順の簡略化、高速化を図りつつも、且つ人間生物の味覚組織と満腹中枢の充分な充足を達成せしめる処理によって実現する――人呼んでファストフード。私と言う自我を主張せし人物は、過去に於いてかの物をして食事となした経験を所持していないのであるが、如何様にしてこれに対処すべきであろうか。この面に於いて先んじていると判じられる貴君等に教授を請うところである」
「ちょっと千々泡、ウチにもわかるように言ってよ」
「どうやら千々泡さんは、ファストフード店は初めてみたいだね」
「マジかよ。お嬢様だな」
 お嬢様と言うより、店員さんと意思疎通が図れないだけじゃないかと思ってしまったりもするけれど……、さすがに失礼が過ぎるか。まぁ、こういうお店って機会が無いと入らないしな。そしてその機会は大抵、友人によってもたらされるものだ。千々泡切子さんに、その手の友人が今までいたとは――想像しにくい(遠まわしな表現)。
「じゃーぁー、千々泡にはモチモッツァレラバーガーがオススメー。オイシーよ。01414」
「指導に惜しみなき感謝と敬意を示し、異論を挿む事無く右へ倣おう」
 千々泡さんは頷き、順番が回ってきたことを確認すると、カウンターの方へ歩を進める。
 僕等は何となく、特に口出しをしないでその様子を見ていた。
「御注文をどうぞー」
「モチモッツァレラバーガーのセットで」
「承りました。セットはポテトでよろしいですか?」
「はい」
「お飲み物は何になさいますか?」
「ホットのコーヒーで」
「はーい。640円になります。……Sポ、モチモツー!」
 後ろに向かって注文を伝える店員さん。
 千々泡さんはきっかり640円を支払った。
「えーと、640円ちょうど頂きますねー。列の横でお待ち下さい!」
「はい。……」
 彼女が僕等の方を向いた。
「…………? 貴君等の表情から心中の動向が推察出来ない。言語表現による解説を所望するが、如何か」
 実際、この時の僕ら三人の驚愕っぷりと言ったらなかった。
 あいた口がふさがらない、なんて慣用句がしっくりぴったりはまってガタつきもしない。
「お……おまっ……、普通に喋れたのかよ?」
「待って……マジ待って……、お、お腹痛い……マジ、あ、あり得ない……」
 不意打ちに弱い並尼さんは、すっかり笑いにノックアウトされてしまい、体を大きく折り曲げてしまっている。顔が見えず、派手なポニーテールが頭の前面から地面に垂れていた。困ったことに、彼女の気持ちは痛いほど分かった。
 僕でさえ、顔面筋肉の制御には失敗している。
 対して千々泡さんの無表情さは鉄のごとくだ。
「? 前客の仕草を元に学習し、それを踏襲することによって行為を全うせしめたのだが、以上の動作に貴君等を破顔一笑させるべき意味合いは含蓄されていないと愚考する」
「……そんな器用なことも出来たんだねぇ」
「肯定しきれぬ部分が見受けられる。諸般の例と比較して器用とは言い難い」
「だったら切子、お前。普段からよぉ、って、ん?」
 閾の服の裾を、並尼さんがくいくい引っ張っていた。
 地面と会話するような姿勢のままだ。
「ごめ……ちょ、続末……、わ、私の分注文しといて……ぷっ、くくく」
「大丈夫かお前。笑い上戸すぎるだろ。モチモッツァレラでいいのか」
「モっ……くふっ、いっ、今それ言うな……」
「モチモッツァレラのセットでお待ちのお客様、お待たせいたしまし、た?」
「くはっ、あっははははははははははははは」
 並尼さん、なんか駄目みたいだった。
「謡依、そいつら連れて先に席行ってろ」
「うん。僕は普通にフレッシュバーガーで良いからね」
「おう」
 笑いの止まらない並尼さんと、質問を繰り返す千々泡さんの相手をしつつ、席を探した。

 全員のメニューが揃ったところで仕切り直し。

「あー……マジ笑ってマジ疲れた……」
 本当に疲れたような顔で、白ブドウジュースをストローで啜る並尼さん。
「事ここに至って、未だ並尼晦日氏の呵々大笑を誘発せし事象について理解と納得に到達しない」
 等と言いつつ、モチモッツァレラバーガーを楚々と咀嚼する千々泡さん。
「お前にゃ一生わからねぇよ」
 ため息をついて、二つ頼んだハンバーガーの内一つ目の包装をはがす閾。
「まぁ、食べながら……報告と、これからの行動について話そうか」
 ポテトを二つ三つつまんでから、僕もフレッシュバーガーを手に取った。
 まずは情報の共有から。
「古里井の住んでた家についてだが――空っぽだった」
「引っ越してんだから当たり前っしょー」
「いやいや、そう言うことじゃなくってね。段ボールのかけらすら見つからないような、随分綺麗な状態だった、ってことさ。どう言うことかわかるかい?」
「チョーわかんないっす」
 ナゲットをつまむ並尼さん。
 対して、千々泡さんがモチモッツァレラバーガーを置いて口を開く。
「仮説として古里井女苗氏が我々の既に獲得したる情報から自然に導き出せる状況――すなわち、家宅の移転が行われたとされる時日の前日に至るまでその様子が観測し得なかった事実からして、古里井家に於ける転宅は突発的なものであると推量できる。がしかし、続末閾氏並びに時鏡謡依氏よりもたらされた情報から鑑みるところ、念入りな貨物の撤去、洗浄されたと思わしき屋内等の現状から、緊急の転居ではなかったことが窺える。――以上二つの解釈は相反し矛盾する」
 いつものように流暢にそう言ってのけると、彼女はまたモチモッツァレラバーガーに手を伸ばした。気に入ったのだろうか……。それにしても、モチモッツァレラバーガーって長過ぎだろう。もうこれについての記述はしないことにする。
「要するに、古里井さんの様子から引っ越しのお話はまるで寸前まで無かったように見える。けれども、旧古里井宅からは焦って引っ越した様子は見られない。これは不思議なお話だね、ってこと」
「なるー」
「プロの夜逃げ屋でも、こうはいかねーと思うぜ」
「プロの夜逃げ屋ってなんだい。走り屋みたいに言わないでおくれよ」
「プロの走り屋もいねぇだろうが。豆腐屋のことかってんだよ。……で、まぁ」
 閾は早くも二つ目のバーガーに取り掛かりつつ、並尼さんの方を向いた。
「そこんところどうなんだよ、晦日」
「はっ? ああ、走り屋? ウチも走り屋については良く知らないケド、プロってのはいないんじゃ」
「あのね並尼さん」
「古里井の話だって……。女子から情報は集められたのかよ」
「ああ、そっち」
 合点が行った様子を見せる並尼さんに、そっちもどっちもあるかよと呟く閾。
「んと――とりあえずケッコーな女のコに聞いてみたんだケド、おみっちゃんについて不自然なところを感じてたコはいなそうなんだよねー。マジ。三十人には聞いたし。メール履歴とか残ってるし。見る?」
「別にそんなところ疑っちゃいねぇよ」
「あっそ。まー、おみっちゃん、目立つタイプのコじゃなかったからなー……、あ、でもでもー、だからこそっつーイミだけど。ガッコでおみっちゃんのコト知ってて、ウチのコトしらないコとかいなかったと思うな。逆もー」
「ああ? つまり、女苗の学校での知り合いは……女子については全員当たったんじゃないか、ってことで良いのか?」
「そそ。100パーかって言われるとビミョーっすケド、大方当たったと思いますわー」
「お疲れ様。ありがとうね」
 ふむ……。
 情報に関しては進展なし――むしろ、ますます引っ越しと言うよりは消失と表現した方がしっくりくる――謎が深まって行く感じだ。古里井さんはもしかしてマジシャンの卵だったんじゃないかと思われるくらいに、見事な蒸発ぶりである。
 スタンディングオベーションにはまだ早いけれど。
 古里井女苗……、うん。そう言えば。
「そう言えば、並尼さんは古里井さんと仲が良かったんだっけ」
「んー? まー、うんー。なんでそんなこと訊くワケ?」
「興味が半分だけどね。古里井さんのお引っ越し――もはや失踪やら消失やらって表現した方がしっくりくるけれども……、そのあたりについて僕等は情報を収集して来はしたものの、彼女自身の人となりについては調べてなかったな、と思ってさ」
「ああ、確かにな。一文字が好きになった奴――くらいしか、俺も知らねぇや。何度か会話はしたけれどよ」
「なるなるー。それでウチに、おみっちゃん自身の話を聞きたいってコトねー。千々泡も聞きたい?」
「時系列に沿った記憶処理機構を保有し自我を確立することによって個性を主張せし人間達の構成する社会に於いて、各人の形質とはその重よ」
「ごめん。アンタに訊いたウチが馬鹿すぎた」
 千々泡さんの台詞を途中で遮ると言う荒業を、自然にやってのける並尼さん。彼女が広い交流を持てていると言うのには、案外このようなスキルが生かされているのかもしれない。等と思った。
 並尼さんはズコーッとジュースを飲み干すと、話し始めた。
「つっても、まー、べっつにあんまり……説明下手なウチからじゃ、詳しいことは言えないんですケド。そーだなー、ヘンケンっつーのかな。そう言うの、あまり持たないコだったかなー」
「ふぅん」
「一文字もそんな感じのこと、言ってたっけか」
「うんー。今でこそウチこんなカッコだけど、入学したての時は髪とかちゃんと黒くてさ。ベンキョーとか? 頑張ったりしてたことも在ったワケですよ。今から考えると、飼いならされたブタってか……なんも考えてなかったなー、あの頃」
「今も考えてねーだろ」
「あー、そうゆーこと言うしー。今はそうでも無いっスよ。あの時ベンキョーしてたのはそれしかない……つーか、それ以外にやること知んなかった――あるじゃん? 流されるままってヤツ」
「自分で選択していたわけじゃなかった?」
「そそ。時鏡ってばアタマいいなー。うん、そーゆーアタマの良さはまるっきりなかったね。テストの問題解けてもさ、考えてないっつーね。今ガッコのベンキョーあんまやんないのは、選択してるんデスヨ。髪染めてんのも。とりあえず今はソツギョーできりゃいいんだ、ウチは」
「卒業してどうするんだい?」
「そーデスね。ウチはデザイナーにでもなろうと思ってるんだよね」
「へぇ、そうなのか」
 閾は興味深げに相槌を打った。僕もそんな話は初めて聞く。
 なんとなく、彼女はドロップアウトしただけかと思っていた。
「じゃ……もしかして、そっち方面の勉強をしてるのか?」
「ウン。実はねー。あ、ハズいから内緒にしといてー。売れてから知れるのは良いんだケドー……、実力もねーウチからチヤホヤ? されちゃうとさ。何て言うかさ。腐る? 腐っていやがる、早すぎたんだ! 違うか」
「決心が鈍る? ぬるま湯に浸かってる感じで」
「あー、もー、時鏡の指摘的確すぎ! アンタ委員長やってよ」
「嫌だよ」
「だろーねー」
 並尼さんが笑う。
 と言うか、話が脱線してるよね。
「それで、古里井さんの話が主体だったはずなんだけれど」
「あ、ゴメ。そうそう。えっとまー、そっからおみっちゃんの話に繋がんだケドねー。ガッコで一年の時、おみっちゃんと同じクラスでさー、話す機会が在ったんだよね。つか、内容は良く覚えてないんだけど。どーしたっけなー、多分あの時のウチ、最悪な顔してたんだと思うわ。声かけられたんだよね」
「古里井さんの方から?」
「そ。おみっちゃんのほーから。つまらなそうな顔してるねー、みたいな感じで。ウチもあん時は、ツマンネーって応えたと思う。そしたら、『だったら、楽しく思えるように生きようよ!』とか、スゲーポジティブなコト言われたんだよね。ムカツキながら、話してるうちに、なんか……好き、っつーか、いや、女子同士だから恋愛じゃなくて」
「惹かれた?」
「うんうん。困った時は時鏡にケンサクかければオッケーだね」
 人を便利道具みたいに言わないでおくれよ。
「でま、おみっちゃんってば、センセーとか目指してるんだけどさ。同じ道じゃなくても、なんかE-NA、あーなりたいなーってんで。とりあえず好きなコトとかモノとか探して、思い切ってイロイロやってみることにしたわけ」
「結果、ついたあだ名が不良女子高生ってか」
「マジカンベン。ウチ、道は踏み外してないんですー。でも、おみっちゃんはそんなウチを応援とかしてくれたねー。うーん。おみっちゃんは、そうだなー……、ぱっと見目立たないし、個性ユタカって感じでもなかったけど……。優しい、ってのもそうかな。元気になるよう支えてくれる、みたいな」
「安心感と包容力のある人だったと」
「そだね。だからウチの大切なトモダチってコト。ウチがいろんなヤツら話せるよーになったのも、おみっちゃんが安心させてくれたから、って気がするよー」
「ふぅん」
 一通り食べ終えた閾が、烏龍茶を飲みつつ頷いて見せた。しかし、そんな古里井さんが、周囲を不安にさせるように何も言わず姿を消すとも、やはり思えない。参考にはなっても、進展にはつながらない美談だった。
「こないだウチが沈んでた時も、手助けしてくれたよー。続末もあん時はアリガト」
「ん? ああ……あれか。ま、別に……」
「うん?」
「あ、こっちのハナシー。聞きたいことそんだけ?」
「うん、ありがとう」
 そろそろ今日の活動について――と、おっと。
 まぁ、ことのついでに訊いておくのも良い、か。
 ちびちびとホットコーヒーに口をつけている、彼女の方を向いた。千々泡さん、砂糖・ミルクは全部入れちゃう派。
「……ついでだけど。千々泡さんは、何故協力をしようって気に?」
「話題の方向性が転換され、私が件の行動選択に至るまでの動機について尋ねられたのを知覚する」
「確かにちょっと気にかかるが……なるたけ簡潔に応えてくれよ」
「我が内情推移について特殊な飛躍は観測されていない。つまり、千々泡切子たる私は個人的諸事情により、超自然的現象についての興味が深く、関連する情報を欲している故に過ぎない。貴君等に与することにより、より正確な検証事実をより迅速に獲得するのが目的である。そのための協力を惜しむ心算は持ち合わせていない」
 全然簡潔ではないと思うけれども、閾は別のところに突っ込んだ。
「超自然的現象ってなんだよ。オカルトか?」
「肯定はしかねるが、その解釈について誤解を訂正するに消費される時間と労力を予想すればこそ、試行には至らない」
「オカルト興味が高じて協力しようと言う気になったと、そんな理解で良いのかな?」
「否定の要素は在れど主張には値しない」
 成程。掌君の最初の発言は確か、古里井さんが消えちゃったんだ――だったはずだから、そんな興味を引いたとしてもおかしくはない。用具入れや教卓へ身を隠してまで聞こうとするのは、女子高生としていささかおかしいと思うけれども。
 それなりに彼女も、真剣に取り組んでいる趣味なのだろうか。
「みんな喰い終わったみたいだし、そろそろ今日の行動について決めようぜ」
「そうだね。旧古里井宅周辺の聞き込みだったかな」
「一文字の奴から地図を預かってるぜ。地域の組合に登録している家を、マーキングしてくれたらしい」
 鞄からしっかり四部、紙の束を取り出す閾。
 渡されたそれらを、一同眺める。うん、コース設定も楽そうだな、これ。
「マジで? 掌のヤツ、マジスゲーじゃん。ヤベェー」
「良く出来ているね。……一人で知らないお家に聞き込みするのも難しいと思うし、二人一組で動いたら良いと思うんだ。と言うことで、閾と僕、並尼さんと千々泡さんのペアでいいかな?」
「待って。ウチ、千々泡と組める自信ない。会話続かないもン」
「千々泡は謡依担当だろ?」
 閾はいつぞやのお返しと言わんばかりに、僕にそう言ってくる。
 ま……、仕方ないか。僕もそれなりに彼女の扱いには苦労してるんだけどね。
「そうかい……、千々泡さんはそれで良いかい?」
 千々泡切子は、不透明な瞳でこちらを見つめて、頷いた。
「お互いの最大効率を導出すべく砕身しようではないか」
「ベストを尽くすってことね。それじゃ、閾と並尼さんはこの地図の西側担当で、よろしくするよ」
「オッケー」
「おうよ」
 席を片付け、移動を開始した。
 諸君らの健闘を祈る。



*   *   *



 古里井女苗は電車通学ではあったが、それほど遠い所に住んでいたわけではない。四駅程度――紙燭灯高等学校と同じ、啼草市内である。と言うわけで、移動時間はそれほどかからずにすむ。
「それじゃ、持ち分終わったらメールで報告ってことで」
「明日の日曜日、お昼ごろに掌君も交えて情報統合する予定だから、各自解散で良いよ」
「了解」
「時鏡も千々泡も、がんばるんば〜」
「享受した期待と同等の質量、貴君等に対しても期待を施そう」
「行動開始だね」
 チーム同士が近場をうろうろしていると何の集団かと思われてしまいかねないので、ある程度離れて行動する。分担は東側と西側――僕と千々泡さんは東側担当だ。
 作戦内容として、特に凝った手段を取るつもりはない。ないが、まさか引っ越したクラスメイトが行方不明なんです――などと切り出すわけにもいかない。何を言っているんだこの子たちは、アニメかドラマの見過ぎか、と思われてしまう。今日の聞き込みは、行き先を直接聞くのが目的なのではない――古里井家が引っ越しのことについて、あらかじめ告知していたかどうか、論点だ。
 よって、古里井女苗の友人であることを主張し、家の場所と引っ越していることを訊き出す。
 学校から直接来たので制服なのは致し方あるまいが、彼女と同じ学校生徒であることは見て取られても、同じクラスとまではわからないだろう。何かの企画で会いに来た知り合いとして、誤魔化しはいくらでも効くはずだ。
 一軒目。
 表札によれば、栗東さん宅――チャイムを鳴らし、道を尋ねたい旨を伝える。感じの良いおばさんが迎えて下さった。
「お手数おかけいたしますが、古里井女苗さん……あ、えっと、友人宅の古里井さんのお家を探しているのですけれども……」
 丁寧だが、良く場所も調べないで友人に会いに来ると言う、勢い任せなところが若者らしい……そんな雰囲気を装っての切り出し。上々だ。
「そおなのー。古里井さん、ねぇ。あの古里井さん、かしら。確かお嬢さんが高校生くらいって聞いてたものね……確か、そっちの通りを真っ直ぐ行った辺りにお住まいだったと思うけれども」
 記憶を手繰るような様子を見せつつ、説明して下さる栗東さん。この様子だと、引っ越したことはご存知ない、ようだ。
「貴君に疑問を呈する事を欲するが許可の頂戴は可能だろうか」
「……は?」
 思案を巡らせつつ、適当な相槌を打っていた横合いから、千々泡さんが会話に加わって――来た、って言うか、嫌な予感しかしない!
 持ち前の流れるような台詞繋ぎを発揮する彼女。
「古里井女苗氏の所属せし一家は、一般的な家族と呼称される集団の最小単位によって構成されている――俗称を用いるのであれば、核家族と呼ばれる類ではあるが、彼らが昨今――正確には先週の第四日目、つまり二つ以前の水曜日に転居を執行した、とされる事実が申告されている。されど転居先として示された地点に彼女等一家の姿の確認が不可であったため、ここに生じる不可解さを解消すべく、我々は活動を開始するに至ったわけである。以上の旨に関連して、貴君の持ち得る情報とそこから洞察される論理的帰結について御意見を参考させて頂きたい」
 何を言っているんだこの子は。
 君はアニメかドラマの見過ぎなんじゃないのか。
 栗東さんは、絵に描いたようなきょとん顔。
「はぁ……、ええと、あなた、お嬢さん……それはつまり?」
「いえ、成程。わかりました、ありがとうございます。大変お騒がせいたしました」
「え? ええ」
「それじゃ」
 千々泡さんを抱えるようにして手早く移動。
 離脱。
 緊急脱出だった。
「時鏡謡依氏。貴君の行動の意図の理解に失敗した」
「僕は君の方の行動の意図が理解できないよ。あんな突飛なことを言って……、聞けるものも聞き出せなくなってしまう」
 閾と違って、僕は運動が得意な方ではない。運動神経が鈍いとまでは言わないけれど、体力面の自信は全然ない。したがって、千々泡さんを連れての強引な移動で、呼吸が乱れ気味。まずは息を落ち着かせる。
「認識が至らず無自覚の内に失策を生じさせていたのであれば、謝罪と反省を実行し再発の可能性を最大限削減する意志を明示しよう」
 相変わらず涼しく無表情な千々泡さん。
 予定外に時間を食うことになってしまったが、労を惜しまず、彼女へ聞き込みに関する心構えとこちらの狙い、世間様の一般的かつ常識的な反応について教え込む。これはあらかじめ施しておくべきだったかなぁ、と、覆水盆へ返らずに思いながらも。
 苦労の甲斐あって、彼女は理解したような様子を見せた。
「貴君の言わんとする行動意図について提起する反駁と疑問は尽きたと言って虚偽にはならない」
「わかってくれて助かるよ……。ついでに言わせてもらいたいんだけれど、その喋り方――口調、なんとかならないかい?」
「私の言語表現に不明瞭或いは不適当な部分が検出されたと貴君は指摘し、故に認知と改善を催促しているのだと推察する」
「うん。正直に言ってしまえば、かなり変だよ。少なくとも聞き込み向きではないね……。さっきのモチモッツァレラバーガーを注文した時みたいに、もう少し親しみやすい喋り方……周囲の人に近い表現方法、出来ないかな?」
 千々泡さんはそう言われて、軽く首をかしげてから、こう言った。
「善処する。例証を提示するため、会話導入を所望する」
「ん? えっと、じゃあテストしてみようか……。千々泡さん、今日の調子はどうだい?」
「おういえ」
 極めて平坦に言われた。
 せめて、Oh Yeah! と言うくらいのノリの良さが欲しかったけれども突っ込みどころはそこじゃなかった。それどころじゃなかった。某有名ロールプレイングゲームで言う、メダパニを唱えられた上ふしぎなおどりを見せられたような心境に陥った。
 自分を殴りつけたい感じだった。
「……もう少し、別の口調を考えてみてくれないかな……?」
「いえいう」
「ちょっと千々泡さん……い、意思疎通すらそれじゃ困難な気が」
「ハレルーヤ」
「…………」
 何を祝福しているんだろうか……。
「ピロシキ、トムヤムクン」
 ロシア料理とタイ料理のコンビネーション。
「ナマステ御免」
 そして、挨拶するなり謝るインド人に扮する千々泡切子。
「千々泡さんの潜在能力を甘く見てたよ、僕は……」
「フォカッ、チャ」
 極めつけにポーズつき。左手ピースを横向きにして、そこから覗くような。
 微動だにしない表情も相まって、意味不明さが果てしない。
「元に戻してくれないかな」
「異論を挿む間隙は見て取れない」
 元に戻ってもまるで宇宙人だった。
 しかし、どうしたものか……黙っていてもらってもそれはそれで良いんだけど、ちょっとあんまりだよねぇ。確か――そうだ。普通の対応をしてみせたさっきの注文時では、他のお客さんの真似をしたって言ってた気がするな。
 それならば。
「千々泡さん、並尼さんの真似って出来るかな?」
「ウソ、時鏡ってば、マジでウチが並尼のマネなんか出来ると思ってんのー?」
「ばっちりじゃないか」
 その、山のように揺らぎもしない無表情以外は。
 ま、多くは望まない。素(?)の口調よりはずっと、意思疎通も聞き込みもスムーズだろう。……けれど、その物真似、並尼さんの前では絶対やらない方が良い気がするけれどね。
「今日の間だけで良いから、並尼さんの真似をしながら聞き込みに付き合ってくれるかい?」
「オッケー。ちょっち自信ないケド、まかせてー」
 命名、マネキン系ギャル。って感じだった。
 さて置きまして。
 退屈な聞き込みの過程は大きく省き、結果のみを記述することにする。
 大方の予想通り、古里井家の引っ越し自体を知らないお宅がほとんどだった。御存じだったお宅でも、突然引っ越してしまい、転居先については良くわからない――と、今までの見解を変換させる必要のない、補強のような情報を得た。地を固める、足踏みのような前進である。
 古里井家は、近所付き合いは悪い方ではなかったが、取り立てて良い方でもなかったと言う。地域行事、町内会のお仕事などは、頼まれたりすれば嫌がらずそつなくこなす。しかし積極的に交流を深めたり、広めたりする雰囲気は見られなかった……のだから、一週間程度では、引っ越しのことすら知らない家宅がほとんどだと言うのは、不自然ではないだろう。
 古里井女苗さん本人と同じく、目立つ一家ではなかったと言うことだ。
 ここまでのノルマ達成に二時間半ほどかかってしまった。途中で休憩、水分補給もはさんでのトータルではあるけど。
「結構時間食っちゃったなぁ……。閾達からはさっきメールが来て、先に帰ってるってさ」
「マジすか。続末達、チョー早いんですケド。超881」
 まだ偽並尼晦日さんな、千々泡切子さん。
「僕等も終了にしようか。あとは帰るだけだよ」
「うんー、乙ー」
「駅まで一緒に行こうか。この辺りややこしいしね」
「おー。時鏡ってば、気が利くぅー」
「もう、元の喋り方で良いよ」
「承諾が確認されたため、現時より平時の言語表現を使役すると宣言する」
 すぱっと戻せるんだなぁ。
「閾の真似とかもできるのかい?」
「ふざけんなよ謡依。俺はお前の玩具じゃねぇんだぜ」
「掌君とか」
「え……ええと、ぼ、ぼくはひ、人と話すのとか苦手だし……その、あまり会話に向かない、って言うのかな……」
 大した器用さだなぁ。全然表情変わらないから、盛り上がりには欠けるんだけれど。
 と言うより、その器用さを常識習得に使って欲しかった。
「千々泡さん、本当に戻して良いよ。それとあまり、物真似は本人達の前でしない方が良いと思うから、今日並尼さんを真似たりしたことは秘密ってことで。よろしくね」
「そうだね。並尼さんのことだ――また地面とにらめっこしながら痙攣しかねないし、下手をしたら自慢のポニーテールが怒髪天を突きかねない」
「……それ、僕かい?」
「状況的に不公平であると直感から告知を受けた故の所作である」
 やってくれるじゃないか。
 予想通り、目の前で物真似をされると不愉快ではあったのだけれど……それよりも、不可解さの方が先に立つことが分かった。僕ってそんな言葉づかいだったかな。
 そして不可解さ、不可思議さを言えば、古里井女苗の消失――それをはるかに凌駕する、千々泡切子と言う目の前の存在がいる。せっかくの機会だし、少し話をしてみようか。
「……千々泡さんって、そう言えば部活は何に所属しているんだい?」
「千々泡切子と言う個人名称が現在所属する教育機関、紙燭灯高等学校に於いて既存する部活動――すなわち生徒諸君の活動力および創作衝動を消費させ昇華させる事を主たる目的に置いた団体行動。その種類は多岐に渡る。されとて、いずれにも前述の名前――千々泡切子の従属は見受けられない」
「帰宅部ってことか。ふぅん……それじゃ、普段はどんな事をしてるんだろね」
 千々泡さんは、ここでどう言うわけか、怜悧そうなその容貌を僕へ向けた。ショートカットヘアが、風を受けてかすかに揺れる。彼女はそのまま、少し無言でいて、それからまた視線を戻した。何を考えてのことかは、予想がつかない。千々泡切子のことについては何も予想がつかない――が正しいか。ともあれ、彼女は応えてくれた。
「学術的見地から独自に世界現象について解釈を行い、結論付けた内容について文字表現を用いて論述し、然るべき機関へそれを提出・配送を達成することで発表の場をも獲得している」
「……論文でも書いてるって……、そう言うこと?」
「否定する要素は見当たらない」
「へぇ……。ああ、もしかして――お昼に言ってた、個人的諸事情による超自然的現象の興味――って、その論文についての情報を集めてるのか」
「肯定以外の応対を私は発想し得ない」
 一介の高校生が論文を書いて、しかもそれを発表している……とは、なかなかに驚きなお話だ。どんな家庭に住んでいるのだろうか、興味がわいてしまう。訊いて良いものか、少し迷ったが――まずい事だったら彼女もそれとなく拒絶するだろう、などと都合良く考え、訊いてみることにした。
 好機は徹底利用すべきだろう。
「失礼だったり、言いたくない事が在ったら勿論口を閉ざしてもらって一向に構わないんだけれどね……、千々泡さんの家庭周りの事情ってどうなってるんだい? 君の年齢で論文を書こうと思うのは、相当特殊な気がするんだけれど」
「己が生命原理を継続的に機能させるにあたって必須とされる行為に纏わる責任の総てが、自身に集約され帰結する連日の渦中に身を置いている」
「一人暮らしなのかい」
 千々泡さんは頭部を前方へ倒し引き上げる動作……言い回しがうつってるな。つまり首肯して見せた。
 聞くところによると――やり取りのいちいちを書き綴ってもいい加減冗長なので、要約して地の文で述べてしまう――千々泡切子さんの御両親は、現在日本にいらっしゃらないらしい。と言うのも、御両親ともが揃って研究一筋の研究者様だそうで……、実のところ小学校入学以前から、彼女は一軒家の実家で一人暮らしをしているそうだ。だだっ広い、また彼女曰く書籍棚のような家に、一人。御両親とは年に数度の短い電話と、五歳の時から通算四度の対面程度しか、交流をしていないらしい。
 学費類の振り込みは勿論、必要資金は十分に仕送りされてくるし、食糧や衣服も基本的に配送されてくるそうだ。自主的に何か購入する場合も、ネット通販とのこと。カードが使える場合はカード支払い……ファストフード店が初めてだったわけだ。
 進学相談の際や、家庭訪問、保護者見学など。両親が必要とされる場合でも、日本へ戻ってくる事は最小限、居なくても良い場合は姿も見せない親。書面類の手続きは言えば勝手に処理してくれ、成績や行動についてはノータッチ。論文関係については、御両親のコネを使い荒してるらしい。
 甘やかしですらない、極致の放任主義だ。
 千々泡さんは良く、グレたりドロップアウトしたりしなかったものだ。成長過程次第では、一人で死んでいてもおかしくない。他人とのコミュニケーション……社交術に難ありな部分も頷け、むしろこれでも随分ましに育った方なのだと、そう思った。
 宇宙人でも異常人でもなく、ただ人間外な経歴だった。
 もしかして彼女にとって、他人とは映し鏡などではなく、事象の一つでしかないのかもしれない。群衆も個人も、社会も文化も一緒くたに関係なく、視界を彩る一現象――それはさながら、表情を理解しない機械仕掛けの人形のような。
 代替可能な言語表現のような。
 服飾品のような人格。
「千々泡さんは何だか、伊達眼鏡みたいだよね」
 さしもの千々泡さんも、数瞬の沈黙。
「貴君の発言意図を尽くまで汲み取り損ねた。比喩表現と言う予測の下質疑への応答を渇望するが、貴君が提示したのは、光波の屈折性質を利用した透明体を用い視力を矯正する調度――眼鏡と称されしそれの趣を模した服飾品で違わぬだろうか」
「そうだよ。でも深い意味は無いさ。眼鏡が僕好みに似合いそうだけれど、君は別に目が悪くなかったよね――と、それだけの話がほぼ半分。もう半分は……まぁ、いいか」
「自主的に些事と判じ口外する重要性の低迷から言及を回避したと理解する」
「うん。否定する要素は見当たらない――だよ」
「肯定の意志を確認し精神の惑乱が阻止された」
 物真似に関しては何もコメントが無かった。反応すら見せない。予想出来た対応だけれども、気づいてないことは無いと思うし、ちょっと寂しかった。
 そんなこんなで、そろそろ駅に着く。
 本来の目的じゃなし、千々泡切子について掘り下げるのはこの辺りでよそう。
 最後に、と。僕は彼女の方を向く。
「明日の集合時間は、十一時にシャト・ノワール――紙燭灯高校の近くのチェーン喫茶店……、って、知らないか。うん、十時五十分くらいに学校前に迎えに行くから、そこで待っていてくれないかな」
「貴君が指示する明日の行動見込みに関する思惑の意について不満は存在しない」
「よろしくね。ところで千々泡さん、何についての論文を書いているんだい?」
 気になっていたのでこれだけは、なんて思い、さりげなく訊いてみた。
 彼女は変わらぬ調子で応えた。
「隠蔽の持続する並走せし現実についての思惟と論証。常識や世間と認知される虚構の暴露。それは超自然的現象が人為的に惹起される可能性を包含している。知覚から確信へ至る諸々の要素的断片は随所に発見され得るが、倫理観ゆえの徒党に圧迫されつつある。すなわち私の叙述は彼の者等からすれば反逆意志であり、此の者等からすれば革命発起である。がしかし、自身にその志向は皆無である。あらゆる事象は只管の観測に曝される物であり、心意は存在し得ない」
 珍しく、一呼吸置いて。
「私は唯、真理を掻き乱すだけ」
「何だか……あまり穏やかじゃないね」
「貴君――時鏡謡依氏は既知しているのではと、邪推する」
 不透明の、そのまた向こうの、何もない空間から、意思と呼ぶにもあまりに不器用な、彼女の心が、僕を見据えているかのように、感じられた。
 勘違いだったろうか。
「その考察は既済ではないか。他表現を用いるのなら、貴君は――古里井女苗氏の失踪を超常識的現象と見做し、且つその側面よりの解法接近の手法を有していると所見を述す次第である」
「……お生憎様。僕は何も知らないさ。そんなのは言いがかりだよ」
 ただ、そのアプローチだけは、最後までとっておきたかった。
 出来れば触れたくなかった。
 それだけだ。
 一度俯いてから顔を上げ、薄く笑って、両の手のひらをひらつかせる。それからポケットに手を突っ込んで、言った。
「じゃあ、また明日」
 千々泡さんは首肯を示した。
 黙したままで改札を抜けて、ホームでため息。
 ココアシガレットを咥える。





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